失われた均衡 ― オッペンハイマー不在の核の世界
ぽぽんS嬢
第一部:分岐点(1942年秋~1943年春)
第一部主要登場人物
【アメリカ】
J・ロバート・オッペンハイマー:
理論物理学者。マンハッタン計画の科学ディレクター候補だったが、1942年10月15日、ニューメキシコ州で自動車事故により死去。
メアリー・オッペンハイマー(架空の人物):
ロバートの妹。MIT出身の物理学者。兄の死後、その遺志を継ぐべくマンハッタン計画に参加。
レスリー・グローヴス准将:
マンハッタン計画の軍事責任者。オッペンハイマーの死後、分裂する科学者たちをまとめることに苦心する。
エンリコ・フェルミ:
イタリア出身の物理学者。シカゴ大学で原子炉CP-1の建設を指揮。温厚だが、研究の遅れに焦燥感を募らせる。
エドワード・テラー:
ハンガリー出身の理論物理学者。水素爆弾「スーパー」の開発を主張し、他の科学者と対立。
アーサー・コンプトン:
ノーベル賞物理学者。シカゴの冶金研究所を統括。現実的な判断を下すが、求心力に欠ける。
【ドイツ】
ヴェルナー・ハイゼンベルク:
ドイツの理論物理学者。原爆開発計画「ヴォータン」の科学責任者。科学者の良心と祖国への忠誠の間で苦悩する。
カール・フリッツ(架空の人物):
若手化学研究員。高純度黒鉛の精製に成功し、ドイツの原子炉臨界を可能にした。
アドルフ・ヒトラー:
ドイツ総統。原爆開発に熱狂的な期待を寄せ、無制限の支援を約束する。
アルベルト・シュペーア:
軍需相。ヴォータン計画を推進するが、その恐ろしさも理解している。
ヴァルター・ゲルラッハ:
物理学者。日独技術協力の連絡役として、遠心分離技術を日本に提供。
【日本】
仁科芳雄(にしな・よしお):
理化学研究所の物理学者。日本の原爆開発「二号研究」の責任者。科学の純粋性と戦争協力の矛盾に苦しむ。
東條英機(とうじょう・ひでき):
陸軍大臣(後に首相)。日独協力による原爆開発を決断。
山田乙三(やまだ・おとぞう)(架空の人物):
関東軍参謀中佐。満州でのウラン採掘を担当し、強制労働を推進。
木村健二郎(きむら・けんじろう):
仁科の助手。若き化学者として、プルトニウム研究に従事。
【その他】
キャサリン・オッペンハイマー:
愛称キティ。ロバートの妻。事故で重傷を負うも生存。夫の最期の言葉を証言。
ヴァネヴァー・ブッシュ:
科学研究開発局長。マンハッタン計画の統括責任者の一人。
ジェームズ・コナント:
科学研究開発局副長官。化学者。ブッシュの右腕として計画を支える。
ニールス・ボーア:
デンマークの物理学者。作中では言及のみ。仁科、ハイゼンベルク、オッペンハイマーの師。
注:オッペンハイマーはボーアと親交はありましたが、史実では直接の師弟関係はありません。
物語上、ボーアの弟子三人が、アメリカ・ドイツ・日本でそれぞれ核開発に関わりながら苦悩する様を描きたいという思いから、そういう設定にしています。
注:本作品はフィクションです。実在の人物については史実を基にしていますが、物語の展開上、行動や発言を創作している部分があります。また、(架空の人物)と記載のある人物は完全な創作です。
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