【4日目 5月6日(金) 曇り】

葬儀に出た。

棺の中の真木は、綿で覆われて顔が見えなかった。

式場の隅に、小さなガラスケースが置かれていた。

その中に――古い日本人形。


長い黒髪に、白い顔。

着物は煤けて色がくすんでいたが、なぜか髪だけは艶がある。

母親が「最近あの子が拾ってきて、手放さなかったの」と言っていた。


供花を置くとき、ふと視線を感じた。

誰かに見られているような。

振り返ったが、そこには誰もいなかった。


夜になっても、その人形の顔が頭から離れない。

あの瞳、まるで濡れているみたいだった。

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