第29話 希望、そして

「わぁ……」

 男の子は目を輝かせ、砂絵に夢中だ。

「真人、そこからだと上まで見えないだろう。ほら」

 父親が肩車をすると、今まで見えなかった場所が見えて更に真人は喜んだ。

「真人、病院は走ったらダメって何回も……あら、この砂絵、前に来た時は無かったのに」

 病院の入口にある砂絵には、少年と少女、それと青い空、透き通った海、黄金の砂浜……見るところが目白押しだった。

「真人、この砂絵、気にいった?」

「うん!」

「それじゃあ写真に撮っておこうか」

 真人の父親はスマートフォンで写真を撮った。

「写真だけじゃなくて、時々此処に来て見ましょうね。きっとその方がいいわ」

「そうだな。写真だけだと砂の一粒一粒が分からないからな、さて、真人行くぞ」

「うん!」

 

 ……フィガロ、真人くんの手術上手くいくといいね。

 ……僕たちが見守ってるから大丈夫さ、フィレオ。

 

<終>

 

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孤島のフィレオ みきり @__mikiri__

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