第15話 僕も砂になれたら

 多分朝だろう。フィガロは目を覚ました。扉越しに声が聞こえる。

「フィガロ、起きてる?」

「起きてるよ!フィレオ」

「部屋、入ってもいい?」

「もちろん!」

 フィガロは扉のわずかに空いた下のスペースをじっと見た。すると砂が入り込んで……みるみるうちにフィレオを構築した。

「おはよう、フィガロ」

 フィガロは挨拶を返すと、昨日の無礼を謝った。そして、砂がフィレオになる瞬間。命が積み上げられる過程の様だ。フィレオの色をした砂が一粒の狂いもなく人間の形になる。どこか神秘的な気持ちになった。と感想を述べた。

 フィレオが後ろに手を組み、ゆらゆらと揺れる。

「いきなり砂になってごめんね。でも今の言葉、嬉しかった。拒絶されるかと思ったから」

 フィガロは一瞬考え、自分が夢の中でフィレオに言ったことを思い出し、申し訳なくなった。

「そ、そんなことないよ!できることならフィレオと一緒に居たい!」

「本当?」

 フィレオは再び歌と共にくるくると回り始めた。

「僕も砂になれたらな、此処から出られるのに」

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