第14話 私は
海の夢。フィガロはフィレオを探すことにした。
「フィレオ!昨日は、ごめん。フィレオがどうやって扉から出るのかを聞いたのはこっちなのに、あんな失礼な態度しちゃって……あ!」
遠くの方に、海を見ながら佇むフィレオの姿が見えた。すかさず駆け寄る。あの時の、人間の時のフィレオの姿に安堵するフィガロに、フィレオは海から目線をそらさず問いかけた。
「海、綺麗?」
「えっ?あぁ、うん。綺麗だね。青い海」
「砂浜は?」
「砂浜も黄金の粒みたいだ」
「私は?」
風景の後、フィレオの容姿について聞かれるなんて想像もしていなかった。フィガロは戸惑った。フィレオの瞳がフィガロを捉える。
「もちろん、綺麗だよ。ほら、ええと……」
フィガロは必死にフィレオを誉めようとする。フィレオに伝えたい。フィレオの素晴らしさを。だが、言葉が出てこない──
「フィレオ、君は、僕は君を……」
しどろもどろになりながら、フィガロは必死に言葉をひねり出そうとする。
嘘はつけない。フィガロは今の自分の気持ちをフィレオに伝えることにした。
「フィレオ、明日もう一度、砂から君へ変わる瞬間を見せてくれるかい?」
──フィレオは頷いた。
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