第6話 泣き声
「できた!!」
フィガロは縋る物を手に入れた。何日経過しただろう。ベッドの下に正の字でかかった日を記録するようにしていたのだ。フィガロはベッドの下を覗いて背筋が凍るのを感じた。なんと、正の字が綺麗さっぱり消えていたのだ。
「昨日まであったのに!」
と同時に、やはりこの部屋は監視されている。いつか自分が彫った光の少女も消されてしまうのか。その日は絶望感に苛まれたまま眠りについた。
少女に会った海へとまた導かれ、フィガロは明日が来るのが怖かった。悔しくて、仕方がなかった。涙が砂浜を濡らす。
「うわぁぁぁぁん!!」
フィガロの声が海と空へ突き抜けた。それは小さな子供の大きな泣き声。今までため込んできた言葉に出来ない感情が一気にあふれ出す。慰めてくれる人は──
「泣かないで、フィガロ」
人差し指を口元に当て、近づいてきたのは……光。あの時の少女だった。
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