第3話 変化

また海の夢。少年はいつものように孤島を一周歩き、寝転ぼうとしたがもう一度試してみたいことがあることを思い出す。それは海の向こうまで泳いでいくこと。もしかしたら違う島があるかもしれない。だが、いつもとある一定の距離で目が覚めてしまう。それでも何故か今日は更に遠くへ泳げるような気がして少年は海へ歩み始めた。

 

「行かないで」

 

 思わず目を限界まで見開く。今、確かに声がした。さざ波に溶けてしまいそうなか細い少女の声。瞬きはできるが声が出なくなっていた。少年は試しにもう一歩足を踏み出す。

「海の向こうに行かないで。ずっと一緒に居て、フィガロ」

 はっきりとした声が聞こえ、声のする方へ歩き出す。すると揺らめく光が見えた。この光は、神様?

「神様なんかじゃないよ」

 心を見透かされ、思わず後ずさりをするフィガロの目の前で、その光は人の形を成した。その瞬間、目が覚めた。

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