「底辺作家」を自認するWeb小説家の「私」は、同人誌即売会で、大人気Web小説家のサマンサさんの隣のブースに。
サマンサさんは高級品と思しき差入のお菓子を勧めてくれますが、「私」には食べたくない事情が……。
じわじわと押し寄せる不穏な気配、先の読めない展開、短い中に張りめぐらされた伏線、待ち受ける衝撃のラスト。
底生ザメ作家(自称でも『底辺作家』と言うのは悲しいので……)の私にはあまりにも身につまされるお話です。
怖い! ホホジロザメ作家様、怖い!(あくまで『大きくて強い』ものの比喩です。ホホジロザメ大好きです。ホホジロザメ美しくてカッコよくて可愛いです。ホホジロザメ悪意ないです)
お菓子の過剰な甘さの描写も素晴らしく、自分の口の中まで甘ったるくなったような気がしました。それを心理描写と絡めて不快感や嫌悪感を高めていくテクニックにも、作者様の並々ならぬ力量を感じます。
底生ザメには底生ザメの良さがある、頑張れ「私」! ジンベエザメサイズになって見返してやれ! と応援したい気持ちもありますが、これはさすがに頑張れないですね。めげます……。
人間怖い系ホラーがお好きな方、底知れぬ狂気と恐怖をお愉しみください。