げんだいじんに警鐘~筆舌に尽くし難いという敗北~

一筆書き推敲無し太郎

第1話

こんな言葉がある。「筆舌に尽くし難い」という言葉だ。これは文章や言葉では十分に表現できないほどの甚だしい様子として扱われる。実際にこの言葉を用いて場面を乗り切った人間も居るだろう。しかしそれは敗北であると断罪する。


筆舌に尽くすという逆転の発想を用いる。それは言葉を操って表現ができたという反転になりそうだ。因みに「私の気持ちを表現する言葉が見つからないです~」という用い方をしている人間を断罪することを断っておく。

なぜなら、お前が言葉を知らないだけじゃん、お前の経験が浅いから言葉を用いることができないんじゃんと。なんて言えば場を治めることができるか想像できないだけじゃん。

表現することを諦めた事を格好よく表すんじゃない。明らかに敗北だ。


仮に尽くし難い感情を感謝だとする。まず、お礼はできるんじゃあないか?

平伏することを身体で表す努力を怠っていないか?

難しいことではない。言葉を表すことよりも無心でできる。その際に言葉が稚拙で申し訳ないが感謝していることを表現したいのだと示すのだ。

人間は喜怒哀楽を露わにする方法がいくつもある。そのうちの喜・楽を表すのだ。

頭を下げている合間に考えよ。若人よ、表現を諦めるな。


仮に厭世だとする。嫌だなという気持ちを表したくないからこそ、言葉を選んでいる。偉い。


仮に無念だとする。自分の感情に向き合う事を諦めるな。内省を働かせよ。


仮に悲惨だとする。対象が第三者であれば使うことを許容する。自身であれば向き合え。


まだ見ぬ感情を、自身の持ちえない言葉群で、紡いでいく言葉は美しい。

揃えてお出しできなくてよい。まずは表現することを諦めるな。

言葉を尽くす努力を怠るな。

二度と使うな、「筆舌に尽くし難い」を。感情に向き合え。

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