2話 下僕獣人族

実技会場に集められた900人の受験生たち、これから行われる事に場は騒然とした。

「今からこの広大な敷地で300人になるまで争ってもらう、それでだがこのリングをつけてもらいたい」

私たちに渡されたもの、それは肌触りが良く、魔力が感じられた。

「そのリングは万が一、戦闘不能や死んでもここで復活するという代物だ、勝手に外したら命の保証はない!」

周りの視線が急に鋭くなった。それは受験生同士の対立を意味していた。

「禁止事項は無し、一人で行動してもよし、大人数でチームを組んでもよしだ」

(つまり生き残ればいいって事ね、通過率は33%か)

周りは武器を持ち込んでいるが私は何も持ち込んでいなかった。

(周りは武器を持ってるんだ、私は魔法の出力を限界ギリギリまで出すか)

私は体をめぐる魔力の量をリミッターのギリギリまで高め、実技会場に入っていった。すると学校の先生たちが実技会場のどこかにテレポートをする魔法をかけていった。もちろん私もかけられ、一瞬のうちに森林の中にいた。

(周りは木だね、人の気配は無いのかな)

私は周りの風景を見ていった、果てしない森林が続いていて気が遠のきそうだった。

(仕方ないか、人に会うまで歩き回るか。そう言えば食事はどうなるんだろう)

周りを見ると食べれるキノコが生えているがもしかして自給自足しろという事なのだろうか?

(でも受験生同士で戦いあうのなら人に会わないことがいいのか?でもチームを組んでいいと言っていた。悩むところだな)

大声を出して反応する受験生は敵意があるかないか分からないのだ、今の状況だとリスキーすぎるため私は声を出さなかった。そして時間が流れていき、私は食料を集めていき、腹が空いてきた。

(朝から何も食べてなかったもんね、少し腹ごしらえにするか)

私は薪を集め、魔法で火を点けた。少しだけ明るくなり、ほんのり暖かい。

(キノコの丸焼きか、まぁ試験が終わるまでの辛抱だね)

私は毒キノコと普通のキノコを分け、そして普通のキノコを木の枝に刺して調理していった。

(調味料が無い今は本当にキノコだけの味を楽しまないと、それに初めてキノコを食べるしどんな味なんだろう)

私は十分に焼けたキノコを口に運んだ、少し土の味がするけどなかなかおいしかった。その時草むらから何かが出てこようとしていた。

(なんだ、敵襲か?)

私は火の魔法を準備したが草むらから出てきたのは猫耳を生やした獣人族だった。

「美味しそうな匂い……ギャウン!?」

私の姿を見た獣人族は急いで逃げた。

(もしかしておなかが空いて、いい匂いがしたから近寄って来たのか?)

私は獣人族を追いかけずに食事を続けた、だがさっきの獣人族はどうしても焼きキノコを食べたいのか私に気が付かれない距離にいた。ただ私には見えていた。

(一応あの獣人族は筆記試験を通過したんだよね、侮れないな)

私は手が滑ったふりをして獣人族の元に焼きキノコを投げた。獣人族は欲望に耐えれなかったのか焼きキノコをキャッチしに草むらから飛び出した。

「うま……うまい」

「あなた、どうして私の事を付け狙ってたの?もしかして私を落とそうと?」

「……にゃにゃ!?」

私は獣人族の目の前に立っていて獣人族は怯えていた。

(本当にこの子生き残れるのか?本当に不安だ)

私は子猫を見る目で獣人族を見ていた。

「これ、どうして投げてきたの?」

「食べたそうにしてたから投げた、それと遠くから見てたのは分かってるからね」

私は獣人族の事をたくさん言った。

「どうして見えてるのだ!?」

「だって私夜目が利くんだ」

獣人族は私の圧に耐えれず、私の足を舐め始めた。

「これで許してくれるのだ?」

「どうして足を舐めてくるのか分からないんだけど」

「ご主人様どうか私を殺さないでなのだ」

どうやらこの獣人族は私に殺されたくないライ氏。

(どうしようか、殺しても何のメリットもないし生かすのもアリ、だけど寝首を掻かれる事だけは注意しないとな)

「別に殺さないけど足を舐めるのはやめてよね」

「分かりましたご主人!」

(もしかしてだけど私はこの獣人族を下僕として扱えるのか?でもそういう事はしたくないなぁ)

私は自由に使える獣人族が仲間に入った今、交代で睡眠をとったのだ。もちろん野宿で布団は無しだ。

(さすがに布団が無いと寒いなぁ)

私は凍えながら少しだけ眠りについた。その間獣人族は私の周りに近づいた人たちを追い払っていったのだった。

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