第4話　因数分解-恋に破れて

佐藤くんがあの子に

「好きだ」

と告白しているのを

見てしまった。

「嫌いだ」

と言われるよりひどい。

歯牙にもかけられない。


佐藤くんに

「好き」

と言われない子が

この教室に四十三人


「世の中、好きと嫌いしかないじゃん！」

とのたまった友達。


好きが一で

好きでも嫌いでもないが四十三だわ。


それから

あたしは議論が好きになった。

佐藤くんが得意な数学みたいに。


そこに

感情は一切入らず

まっすぐ、あたしの決めた結論へと

導いていく黒板。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう！

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録（無料）

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る