ラムネソーダ

僕の部屋の中までセミの祭囃子が

聞こえてはじけたラムネソーダ

白紙のままの日記も

投げ出した工作も

夜を呼ぶ夕焼けが赤く染めた


廃線跡の秘密基地で僕ら出会った

虫取り網に透けた君の顔が笑った

眩しい季節だった


君を知っているような気がした 

遠い記憶の中で

宵や、はりさけそうな思いが一つ 

花火の影に消えた


あの日、全部君のせいにして逃げ出した僕は

所在なくあてもなく夜を待ってる


廃線跡の秘密基地で君と出会った

汚れたままの靴で錆びたフェンスを越えた

つなぐ手に汗はにじんだ


もういいかい

まだだよのか声がする

逃げ場所もない夏の終わりに


プラネタリウムみたいねと

笑う君の顔を、照らした蛍のあぜ道

微かに見えた

涙知らぬふりして


間違いも後悔も置いてきた帰り道

机には気の抜けたラムネソーダ



【解説】

夏休みに親の田舎で過ごす少年

不思議な人夏の出会い

配線跡で君と過ごした。

その君はある日いなくなってしまった。

サヨナラも言えない。

夕日が沈む自分の部屋には、飲もうとして放って置いたラムネソーダの炭酸がもう抜けてしまっていた。


※Instagram⇒@nitocbo


にて

「時輪めぐりの詩」

「そぞろごと」

「ラムネソーダ」

「ヨルノセカイ」


の弾き語り動画あげてます

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