怖いままでいいよ

Iloha

第1話

 昨日は「自分の内面をみつめること」。


そういうご助言をさる紳士から頂いた。


 すぐ慌てちゃうし、不安になる。


すぐいい気になるし、勝手に期待する。


今日はひとりでまた有名な作家さんの


本のページを繰りながら考えていた。


 「これは俺のために書かれた本だ」


そういう本にみんな会いたい。


だから本好きな人達は、


なにかあると本屋さんに行って


「今の自分にしっくりくる本」


を探すのでしょ?


 今は中々そんな元気は出ない。


長編を書いてみる、今んとこ無理だ。


 でもさ、自分だって


「この本は私のために書かれたみたい」


そんな小説書いてみたいよね。


 静かに散歩したり、観葉植物なんかを眺める。


私には出来ないんだって落ち込む。


 ふっと思ったんだよ。


私が「怖い」とよく言うので、


鼻でフン、と笑って


「また怖い、だ」


そう笑った人がいた。


私はキッとその人を見つめた。


「あんたって芯から嫌なやつ」


そうは言わないで、


我慢してその場を立ち去った。


 怖いままでいいじゃない。


 不安でいっぱいでもいいじゃない。


「明けない夜はない」なんて私は言えない。


しっかり「理由」があるんだから。


怖いにも、不安にもかならず理由がある。


読んでくれている方は


活字に慣れ親しんでいるから、


自分の気持ちを言語化するのは上手だと思う。


 だけど、


「これが原因だからほら解決」


そんなスッキリ毎日過ごしてる人、


そんなにいないよね。


 言葉に出来なくて「怖い」が尚更「怖い」


になるもんだ。


 だから「怖いまんまでいい」。


怖いまま、タオルケットや毛布にくるまって


いいじゃない。


 夜が明けて、何回も夜が明けて


いつかそんなものなくなるから。 


 私は怖がりだから、


怖がり屋の気持ちがよく分かる。


「意気地なし」ってけしかけるより、


私はタオルケットにくるまっている人の


そばにいたい。


笑わせないよ、絶対。











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