異端除霊師アレンは憑依されている
ケロリビドー
プロローグ・銀灰色の男
「ふんッッ!!!!」
『グオオォォォ……』
霧の立ち込める集合墓地。その真ん中で緑色の光が残像を描いて亡霊を両断した。真っ二つになって霧に溶けていく亡霊の向こうから新たな亡霊がまた現れ、その光を振るう者へと襲い掛かっていく。
「遅い遅い。そんな動きではダンスの相手が退屈してしまうぞ、とッ!」
亡霊たちの塊の中心にいるのは銀灰色の髪と緑の目を持つ美丈夫だった。鞭のようにしなる筋肉で繰り出す斬撃は、軽口の間にもまた緑の光を放って亡霊を祓う。除霊は男が手にした剣で行われており、その剣からは植物の蔓が生えて彼の手を覆っていた。
「しかし随分数が多い。ラインダンスがお好みか? よかろう、付き合ってやる!」
銀灰色の男は美しい顔でにやりと笑うと剣を構えながら墓地を縦横無尽に走り出す。やみくもに襲い掛かってくる亡霊たちがひと薙ぎで面白いように切り裂かれ、灰になって土に還っていった。
「ハハハ、楽しいな。久しぶりの肉体はとてもいい。体を動かす悦びか。生きてこそ得られるものだ。素晴らしい。きっと今夜の酒も極上だぞ、相棒」
男が足を止めた時、墓地に漂う亡霊たちは跡形もなく消え失せていた。乱れた髪を優雅に撫でつけた彼は一人きりで歌うように笑うと剣を鞘に納め、墓地を後にしたのだった。
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