気持ちと道

哀れなモンキー

遺書になったらいいな

これは"普通だった"男の話だ


男はある年の9月中旬に生まれた

赤ん坊にしては少し小さく出産予定日より1ヶ月早く産まれた。

名は喜友きゆうと名付けられた。


当時、父は車の整備士、母は専業主婦のごく一般の家庭で育てられた。


喜友の幼少期は最高の人生を送っていた。

幼稚園ではチヤホヤされ、家に帰ると近所の友達と遊び、父と母に愛される毎日……人生のピークはここと言っても過言ではなかった。


幼稚園を卒園すると喜友は引っ越す事になった。といっても徒歩圏内だ…だが友人とはまた別の学校に通う事になった。


思い返せば小学校低学年くらいまでは楽しかった。

近所になった友人と遊んだり、クラスで仲良くなった友人と自転車で駆け回り、携帯ゲーム機で遊ぶ日々……悪い思い出がひとつもない


"普通"ではなくなったのが小学生四年生の頃だ

宿題が億劫になり、やらない日々が続いた。

だが担任の詰めと宿題をやっていなかった罪悪感で吐いてしまった。

これが本当にダメだったのだろう…そこからイジメやハブリの標的になった…がそんな時にも仲良くしてくれる友人がいたのでどうにかなった。


月日は流れて中学生

善友は勉強をしなくなった。

決して余裕があった訳ではない、ただ嫌になったのだ。

ゲームと部活に明け暮れる毎日……

小学生のうちに2人の弟が産まれていてその2人と遊ぶのも多かった。

そんな日々を父は許してくれなかった。

父は勉強せずで後悔したらしい…

「なぜ勉強をやらないのか」、「なぜ勉強に受け身なのか」よく怒鳴られた。

酷い日には扉に穴が空いた。

ゲームを禁止にされたりもした。


この頃から父は厳しくなった。

「なぜ自分が帰ってないのに鍵を両方閉めているんだ」

「なぜ自分が風呂に入っていないのにバスマットが片付けられているんだ」

「なぜ"当たり前"の事ができないんだ」

と怒鳴られ続けた。


善友は怒鳴られるとパニックになる

頭が真っ白になり、過呼吸になる。

そしてこの頃もう一つの事に気づいた。

目の前の"やりたい事"を見つけると"やらなければいけない事"を忘れてしまうのだ。


アホなのか障がいなのかわからないがこの父とは、相性が悪かった。


「なぜ話さない」

「そうやって話を無くすつもりか」

「泣いて逃げるのか」

「小学生でもできるぞ」

「弟2人に言ってるわけじゃないんだぞ」


そう言われ続けた。

話そうとしても声に威圧されてしまう。

その圧で話したかった事を忘れてさらに怒鳴られる。


この頃から、善友は何のために生きているのかわからなかった。父に責められ、同級生からはイジられ、先輩からはコキ使われた。


怒鳴る父に関しては、もちろん勉強をしない自分が悪い。

怒られるのは自分が悪い。

だが怒鳴られ詰められるほど悪い事なのだろうか 父にとってはそうなのだろう


そしてそんな善友は高校生になった。

善友は勉強をせず、父は怒鳴る そんな日々が続いた。


中学生になってから善友は勉強をしないといけないのはわかっていた…だが目の前の娯楽を追い求める猿になっていてできなかった。


もちろん父は善友に怒鳴り続けた。

そして善友は自らを責め続けた。

「自分は何度言われてもできない人間だ」

「自分は産まれてきて良かったのか?」

「自分は生きてていいのか?」

そう考える様になった。だが次の日にはそう言う感情が消えていた。


責められ、その晩に自分を責める…そして自殺を考えるが寝て忘れる…それを繰り返してしまっていた。


さつをしようとは何度も考える、実際に首絞めした事もある……がしなかった。


兄が自さつしたと噂になってしまったら弟はどうなるのだろう。

父が怒鳴る度に庇ってくれる母はどう思うのだろう。


そう考えると死ねなかった……そしてそれを引き起こさない様に勉強に取り組もうと考えるが寝ると忘れてしまう。


どんどん夜更かしをし自分を責める日々、自己肯定感はどんどん失っていった。

その自己肯定感を回復させる為に自分が必要とされるゲームにのめり込んだ。

そして父に怒鳴られる。


正直善友のメンタルは限界だった。


父には進路を聞かれる……善友は料理が好きで料理の専門学校に行きたいと言った。


だが父には「今勉強していないヤツが専門学校に行って勉強出来るのか」と言われた

全くもってその通りだ


その会話を通して善友は気づいた

「僕は"なに"をしたいんだろう "なに"をしなければならないんだろう "わからない"」

その場その場でしか動けなくなり、将来という"道"が全く見えなくなった。


"普通"に考えれば勉強をし、なりたいモノを目指せばよい 普通なら


だが善友はそれがわからなくなってしまった。

本当に調理師になりたいのか、勉強をやらなければいけないのにスマホを触ってしまうのか、なぜ"今"しか見れず"道"が見れないのか


気持ちだけで動いていた猿にはどうしようもなく抜け出せなかった…まるで檻に入れられた猿だった。




薄々気づいているかも知れないが、これは作者の実体験だ

もちろん名前以外ノンフィクションだ。


作者は今でも悩んでいる。

猿の様な自分が生きていていいのか。

自分はどうせねばならないのか。

という事を………




この文は、凄く読みにくいと思う。

本当に申し訳ない…ただ知って欲しかった。

ただ誰かにわかって欲しかった。

僕の気持ちを

生きづらさを

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