砂漠の街で

patapata

輝く瞳

砂漠の街で君と旅行した。


僕は君に恋をしていた。


青色の透き通る瞳をしている君はいつも美しかった。


五年前…

僕はシャウエンの青い街が君に似合うと思って、旅行の計画を立てた。

シャウエンにつくと、予想通り 君は青い街の中に溶け込みながら僕に美しさを振りまいた。


青い街に照らされた夕日を一緒に見ていると、嬉しそうに笑う君にまた酔ってしまった。


リヤドに宿泊し、星空を見ながら夜を過ごした。

「今度来るときは、サハラ砂漠の星空ツアーに行きたい。」

君はそう言って満足そうに寝始めた。




「あれからもう五年か…。」

私は今、一人モロッコにいる。


今日はモロッコまでの旅を癒すカサブランカの宿に泊まり、明日はフェスからラクダに乗ってベルベル人のキャンプへ行き、サハラ砂漠で夜を過ごすツアーに参加する。


「明日は早いな。」

眠りにつくことにした。


夢を見た。

…青い海の中には君が泳いでいた。

まるで人魚のようだった。



「ピピピピッ」目覚ましが鳴る。

出発の時間が来た。

準備を済ませ、フェスにまで着くと、ツアー参加者7名が集まっていた。

メルズーガまでみんなで車に乗っていく。 

車の中で、自己紹介をして お互いの国についての話をした。

イフランやミドルアトラス山脈に寄り、バーバリーモンキーを観察したりしてゆっくりと過ごした。

メルズーガ到着後はホテルへ移動し荷物預けると、ラクダに乗って砂丘を歩いた。


「そろそろだ」

ベルベル人が太陽を指差す。

太陽がゆっくりゆっくりと沈んでいく。

辺りは徐々に青くなっていった。

砂に吸い込まれるようにして太陽は消えてしまった。


テントに到着し夕食をとり、みんなで焚き火を囲んだ。

いつの間にか辺りは満点の星空が包んでいた。

それは、まるで宝石が散りばめられたかのようだった。




みんながツアーに参加した理由について話を始めた。

「なぜあなたはこちらのツアーに参加されたのですか?

僕は、五年前の恋について話しだした。


 「…それは辛かったね」


そこには優しく声をかけてくれるあたたかい人達がいた。

  「わたしも前に友達と見に来たわ。でももう連絡が取れないの。わたしたち同じね。」

少し寂しげに笑って言う参加者もいた。


「さあ〜僕たちのダンスをみてくれ!」

淀んだ空気を打ち消すかのように、ベルベル人がダンスを踊り始め、愉快な音楽が砂漠に鳴り響いた。


「みんなで踊りましょう。」

演奏が盛り上がっていく。

僕も我を忘れて踊りを楽しんだ。


ショーの後は、砂漠の真ん中でみんなでランタンを飛ばした。


「あなたは何を願ったの?」


そう聞かれると


僕は、「また会えますようにって願ったよ。」

と答えた。


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砂漠の街で patapata @BlowWind

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