第7章 最終ダンジョン『災厄』・前日譚

第28話 最終迷宮への『手がかり』・前編

 中ボスをワンパンした翌日。


 村の全体会議に参加させていただいた俺は、単独でラスボスを倒したい旨をみんなに打ち明けた。


「明日、俺は単独でラスボスを討伐したい。

 許可していただけるだろうか?」


 理由はただひとつ。


 命を張って強敵を乗り越えたときにだけ味わえる、あの特別な高揚感が欲しかったからだ。


 本来なら、昨日の中ボスがその相手になるはずだった。だがワンパンで消し飛んだせいで、まったく満足できなかった。


 完全に不完全燃焼。この衝動を受け止めてくれるのは、もはやラスボスしかいない。


 というわけで、俺は単独でラスボスを討伐したい。


 という旨の話をしたら、ミゲル以外の皆からドン引きされた。


『え、なに、この人、普通じゃない。

 戦闘狂すぎるでしょ、怖っ!』


 みたいな目で見てきた。


 ミゲルだけは、キラキラと目を輝かせていた。


「アニキならラスボスの単独撃破くらい余裕だろ!

 ぜひともアニキの勇姿を特等席で見せてくれ!」


 ノリノリで着いてくるらしい。

 あ、ミゲル君、一緒にくるんだ。


 そんなこんなで、ラスボス討伐――つまりダンジョン攻略の許可を求めた結果、村人たちから無事にOKをもらえた。


 ダンジョンを攻略するということは、そのダンジョンが消えてなくなってしまうということ。

 仕事場がなくなるのと同義だ。


 だから、反対されても仕方ない。


 そう思っていたが、実はもう1つ、近くに☆1ダンジョンが存在するとのこと。そっちがあるので、昨日行ったダンジョンはぜんぜん攻略して良いらしい。


 あっさりOKがもらえた。


 ダンジョンの攻略報酬金は村へ還元する予定。

 金なんかいらない。

 ラスボスとサシで戦えればそれで良いのだ。


一対一サシろう」(by クロロ=ルシルフ○)


 これ、一度でいいから言ってみたかったんだよな。





 というわけで、今日は完全にオフである。


 せっかくなので、ずっと放置していた『ドロップアイテム』の整理に着手する。気にはなっていたが、時間があまりなかったので、これまでちゃんと確認できていなかった。

 

 が、その前に、ステータスやランキングの確認なんかを簡単に行おうと思う。


 まずは、ステータスから。


==========

佐藤太一(20・男)(レベル:2)


体力: 70/70(+50)

強度: 59(+43)

速度: 70(+47)

魔力: 61/61(+34)

闘気: 57/57(+32)


恒常パッシブスキル〜

羅纏冥加らてんみょうが(弐)

……魔王の祝福により修羅となる。


攻撃アタックスキル〜

・ミニ・フレイム(Cコモン

・ゲイル・サイズ(Uアンコモン

計都之蝕剣けいとのしょくけん

……肉体のみならず霊体さえも蝕む一閃。


防御ガードスキル〜

・アイアン・ボディー(Uアンコモン

……肉体の強度を一定時間、飛躍的に上げる。

==========


(なんかスゴイ上がってる!?

 と思ったら、レベルが上がったのか!)


 ステータスが過去一で上昇していた。

 原因はおそらく、レベルが『2』に上がったこと。


 ちょうど昨日、レベルが上がるとステータスが一気に上昇するという話を小耳に挟んでいた。

 あの話はどうやら本当らしい。


 少しずつ着実にステータスを上げていれば、いつか壁を越えるように、一気に実力がつく仕様になっているようだ。なんか、すごく現実的である。せっかくの異世界なので、もっと夢を見させてほしい。


 まぁ、強くなれたので良しとしよう。


 あと、新しいスキルも手に入れた。

 初の防御スキル。

 ジェネラルゴブリンが使っていたスキルだ。


『アイアン・ボディー(Uアンコモン)』


 これで生存率が上がるはず。


(いや、待てよ。

 男なら裸一貫、ノーガードで殴り合うべきか?)


 ……とりあえず、防御スキルは保留。


 個人的には『計都之蝕剣けいとのしょくけん』の方が気になっている。昨日は敵が弱すぎて使う機会がなかったので、明日、ラスボスに試してみようと思う。



 次は、ランキングの確認だ。

 俺は初めて、『i rankingアイ・ランキング』を開いた。


 『魔力ランキング』

 『迷宮ランキング』

 『急上昇ランキング』


 多種多様なランキングがあったが、とりあえず俺は1番上にあった『総合ランキング』をタップした。


==========

【総合ランキング】

あなたは現在『88位』です。


・86 孙宇スンユー

・87 ワリ=キマニ

・88 佐藤太一

・89 이서연イ・ソヨン

・90 ウィリアム=ハリス

==========


(あれ、俺って10万位くらいじゃなかったっけ?

 急に上がりすぎでは?

 あ、そうか、レベルが上がったからか)


 レベルが上がり、ステータスが一気に上昇したので、ランキングも爆発的に急上昇していた。


 現在の人口は『60億人弱』。

 つまり、88位は『上位0.000001%』。

 上澄も上澄である。


 ……ふぅ。


 俺はそっと、ランキングを閉じた。

 ちなみに、『急上昇ランキング』は1位である。


 ステータスとランキングの確認は終わった。

 これでやっと、アイテム整理に行ける。


 俺は『i bankアイ・バンク』を開き、アイテムを確認した。





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