第3話 学生の時代のアルバイト
〜学生の時代のアルバイト〜
先生の描いた海の絵を見つめていると、胸の奥に昔の記憶がふっとよみがえってきた。
――学生の頃。
仲間たちと保養所でアルバイトをしていた夏の日。
朝から晩まで皿洗いやベッドメイキングに追われて、疲れていても、夜にはみんなで砂浜に集まって笑いあった。
星の下でギターを弾く先輩がいて、海に足を浸して歌を口ずさんだ。
打ち上げでは、夜みんなでプールに服のまま飛び込んで、大笑いしたっけ。
「こんな日がずっと続けばいいのに」
そう願ったあの頃の自分が、今も絵の中に生きているような気がする。
それから年月が流れた。
大人になって、丘の上の家に住み、静かにランチを楽しむようになった。
仲間と過ごしたあの夏とは違う、穏やかな時間。
でも、根っこのところでは変わらない。
海のそばで暮らしていると、人生のいろんな季節が、潮の満ち引きのように思い出とともに訪れる。
私は先生の絵に映る空を見つめながら、自分の中にもまだ消えない夏の光があることに気づいた。
それは、時に痛みや切なさをともなうけれど、今の私の歩みをそっと照らしている光でもある。
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