秋空

昼休みになると、私は一人で体育館の裏でご飯を食べる。


以前、幼馴染のそらと一緒に食べていたら、「抜け駆けするなよ」とか、「幼馴染ってだけでずるい」とか言われたから。誰が誰と仲良くしようが勝手なのに。


クラスの女子から嫌われてしまっているらしくて、教室には居づらい。



一人で食べるにはここが良い。

この季節、体育館裏は涼しい。


日も高くまで昇らずに、ちょうど体育館によって日陰になるのだ。

そこで、座り込んで弁当を開くと、歩いてくる人影があった。


そらだ。



亜紀あき、一緒に飯食おうぜ!」


「やだよ。誰のせいでこんなところで食べる羽目になってるのよ。まったく」



宙は私の隣に座った。

身長が大きくて、私よりも頭二つ分くらい高い場所に宙の顔がある。



「俺のせいって言われてもな。特に、いつもと変わらないし」


宙の顔を見上げると、いつもの穏やかな顔をしていた。

相変わらず、カッコいいんだから。


そういうところ、腹が立つな……。


って変わりやすいんだから。いつまでも一緒にご飯食べれるなんて思わないでね」



こう接することしか私にはできない。昔からずっと同じ。

変わる事なんてないのに。


宙は困った顔をしながら、私の方を向いて言う。



「俺は、変わらないから。いままでも、これからも、ずっと」



そこまで言うと、恥ずかしくなったのか顔を赤らめて、ご飯を食べ進めた。


分かっているよ。

宙の気持ちが変わらないのも、私の気持ちが変わらないのも。



高い空には、薄いウロコ雲が広がっている。


この空みたいに、いつまでも、ずーっと宙のことが遠くに感じてるんだよ。このもやもやした、ウロコ雲みたいな気分もなかなか晴れないし……。



「俺はが好きだよ」



「…………秋のこと? それって、私の名前と発音が同じだから勘違いするでしょ。ばか」



「勘違いすればいいじゃん」


「……」



……言葉だけじゃなくて、行動で見せろっていうのよ。

それがずっとモヤモヤするっていうに……。


体育館裏は、日が当たらなくて涼しいはずなのに、今日はなんだか気温がために感じた。

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