第1話

騒がしい居酒屋を見渡す。




隣の卓はブスが3人、雛人形のように座っていた。どうやら合コンをしているようであった。






男共もなんだか見た目がパッとしない。自分だったらこんな宴会に参加するぐらいだったら、金を置いてさっさとお暇するところであろう。








週末ということもあり、酔って気持ちよくなったサラリーマン達が幸せそうな顔で騒いでいる。





自分達の世界での鬱憤をここで晴らすが如く、皆楽しそうに笑っていた。






「うるせぇなぁ」



向かいの男が眉間に皺を寄せながらボソッと言った。





この男、小田切とは中学からの付き合いだ。






中学時代は同じサッカー部で切磋琢磨し、お互いの黒歴史も知り尽くした旧友である。






人見知りな自分と違って、コミュ力の塊みたいな男で友達も多いし、ルックスは並だが、異性から爆発的な人気があった。





女性関係に困ることを知らない小田切は、よく調子に乗って二股、三股などのトラブルを起こしてしまうことも多々あるクズな男ではあるが、腐れ縁のせいか、優しくて自分のことを気にかけてくれる大事な友達である。





「で?お前浮いた話はねぇの?」





小田切は枝豆をしゃぶりながらさっそく突っ込んできた。



「お前さつきちゃんと別れてから彼女いないみたいだけど、もう何年になるのよ?」





さつきは以前付き合っていた彼女だ。大学時代に出会って付き合った彼女だが、卒業後初めて就職した会社があまりに忙しく、疎遠になりそのまま破局した。




それにしても、このチャラ男はデリカシーがないのかズカズカとうるさい。





「5年ぐらいかな。仕事も忙しかったし」



吐き捨てるように言うと、小田切は大袈裟に驚いた顔をした。コイツのこういうところがムカつく。







「5年ってお前、、、セカンドバージンならぬセカンド童貞じゃねぇか。俺には絶対に耐えられねぇよ。仕事のし過ぎで男として大事なものまで失ってしまったのか?」




「だから、忙しかったって言ってんだろうが。お前と違って今の俺は女がいなくても生きていけるんだよ。」





思わず強がってしまった。




仕事もある程度年月が経ち、だいぶ落ち着いてきて余裕が生まれてきた。本当は彼女が欲しいのだ。





「またまた~、本当は彼女ほしいんじゃないの?」




こいつ、エスパーか。





図星だったので思わず無言になってしまった。








「そんな君には、これを教えてあげましょう」





小田切は携帯の液晶を誇らしげに見せつけてきた。










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