双子座〜嘘をついてでもあなたの隣にいたかった〜

@Hatuha

第1話

第一話。「私の意味。」

「え〜めっちゃ美人。」「でも、なんか暗くない?」「確かに。お姉さんは美人で、優しくて、スポーツも、勉強も出来るんだって。」「でも妹の方は勉強はできるんでしょう?」「お姉さんには怠るわよ。あ、聞こえちゃったかな?」「双子なのにね。」

これまで何度も言われた言葉。「全然似てないね。」

いくら頑張ってもお姉ちゃんには敵わない。双子の私たちは似ても似つかない姉妹だ。

私、田中真奈美(たなかまなみ)。勉強しか出来ない高校2年生。勉強が出来ればいいじゃない、優しいお姉ちゃんはそう言ってくれたけど、あなたは全てできてしまうんだからいいよね。私には双子の姉がいる。性格が良くて、勉強はもちろん、スポーツもなんだってできる。整った髪の毛は艶があり、長く美しいまつ毛はカールしている。幼い頃から続けているクラシックバレエではスカラシップを取るほどの実力保持者。年間告白数は20を超えている。それに比べて私は、ボサボサで整いのない髪の毛。メイクや保湿なんてしていないので乾燥した肌は見苦しく、運動音痴でバレエなんてできやしない。お姉ちゃんと同じ顔なのに、使う人が違えば差が出てしまうのだ。どうせ私なんて、いてもいなくても同じ。お姉ちゃんには及ばない。普通の姉妹でありたかった。せめて同じ日に生まれていなければ、私の人生変わっていたかもしれないのに。

校門を出ると雨が降っていて足がすくむ。しょうがない。走って帰るか。歩き始めてわずかで制服はぐっしょりと濡れていく。雫が滴る髪の毛は冷たい。冬だからか余計に頬がピンク色に染まる。朝の天気予報では雨が降るなんて言っていなかったのに。あれ?どうして涙が流れるんだろう。もう、自分自身に失望したのかな?私なんて必要ないしね。もう何もかも嫌になった時、彼が現れた。「風邪、ひくよ。」顔を上げると男子生徒が傘を差し出していた。この人、どこかで。「俺、栗田蓮です。家の方向同じだったよね?家まで送るよ。」蓮が優しく言う。ああ、そうだ。栗田蓮。イケメンで爽やかな高校3年生の先輩だ。学校1の人気者で家が近所だから親同士の絡みもあったっけな?「あ、ありがとうございます。」傘の中2人で歩くが一向に会話が続かない。家が見えてきたところで蓮が口を開いた。「あのさ、その、好き、なんだ。」1言1言に重みがあってしっかりしている。「今、なんて…」振り返ると蓮が顔を真っ赤にしていた。「星美さんのことが好きです。よかったら、付き合ってください。」あれ?これって、、デジャブ。

中学3年の夏、学校に行くと下駄箱に1通の手紙が入っていた。「え〜ラブレター?」星美は面白がって喜んでくれたが、手紙に書いてある場所に行くと、「ほ、星美さんのことがだい好きです!!付き合ってください。」と言われた。一瞬フリーズした真奈美だが、「あの、私星美じゃない。」と言い、うつむいた。「え?あ、ホントだ。顔が違う。」男子生徒は友達にそう言って、笑った。「まあ、練習になったからいいんじゃね?w」そう言って去って行った。星美はその日にその男子生徒に告白され、ひどい振り方をしたが、真奈美は嬉しかった。自分を好きになってくれる人がいたということが。それから、人が信じれらなくなった。

「えっと、あの、私実は。」「返事は今日じゃなくていいから!だから、ゆっくり考えて欲しい。」蓮が真奈美の言葉を遮って言う。「いや、そうじゃなくて。」っとその時、3日前の出来事が真奈美の頭を掠った。

3日前。「聞いてよね、真奈美。恋花ちゃん知ってるでしょう?」夕飯のコロッケを突きながら星美が言う。「うん。お姉ちゃんの友達でしょう?」「そう。恋花ちゃんが昨日ね、栗田蓮ってヤツに告白したの。そしたら何って言ったと思う?」「何って言ったの?」「時間ないんで、ごめんなさいって。乙女の心ってやつを知らんね〜。」「まあ、確かに。」「私あいつ大っ嫌い。」その日星美はイライラしていて夜中にお菓子を頬張っていたっけな。

あれ?でも、ここで私が正体を明かしたら蓮は星美に告白する。そして星美はきっとひどい振り方をする。なんか可哀想。「考えさせてください。」真奈美は俯きながら言った。そうだ。星美に相談すればいい。付き合わなくても優しく振ってあげてってお願いすればいい。「あ、うん!ありがとう。よろしくね、じゃあね!」蓮はすっきりした顔をして帰って行った。明日から大変な1日になりそうだ。真奈美は深くため息をついた。

次回予告。告白の返事をしに体育館裏に行った真奈美。過去の出来事が渦を巻き、真奈美は蓮の告白をOKしてしまう。星美のフリをして付き合い始めるが、、

2人の恋の行方はどうなるのか!?お楽しみに!


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