#ドラなぜ 勇者の相棒であった守護龍は、なぜか勇者の故郷を滅ぼしたいようでして

帝国城摂政

第1話 とある王国の勇者伝説

 ――これは、とある王国のお話。


 世界が魔王による脅威に困惑する中、その王国から勇者達が魔王を倒すために、立ち上がった。



 ある者は、斧を用いて大地を割る、豪快な戦士。


 ある者は、死者すら叩き起こす、笑顔の神官。


 ある者は、様々な魔術を簡単に操る、無垢なる賢者。


 ある者は、火炎龍を駆って皆を率いる、正義の"勇者"。


 

 魔王討伐という大いなる目標のために結集した、"勇者"率いる4人のパーティーは度重なる冒険を重ねて、遂に魔王を討伐して見せた。



 戦士は、自らの技を広めるために、道場を作り。


 神官は、まだ癒えぬ者達を救うために、巡礼の旅に出かけ。


 賢者は、さらなる魔法の研究をするために、魔導学院に入り。


 そして"勇者"は――相棒である火炎龍にも内緒で、姿を消した。



 それから200年という、長い月日が流れた。

 魔王討伐による平和な時は過ぎ去り、勇者の相棒である火炎龍は王国を守る守護龍として、平和な時間が流れていた。



『我は守護龍メサイアウト。勇者イートバニラの一番の相棒たる、火炎龍なり。

 王国の者達よ、心して聞くが良い。我は勇者の故郷を、火炎で焼き払う事に決めた』



 ――そう、守護龍メサイアウトが勇者の故郷を滅ぼすと宣言する、その日までは。

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