さよならを括りつけて
かみさまみたいな歌声がひびく中
ぼくは樹海をあるく
歌声はぼくのなか あし むね
あたまに響いて
つま先 まつ毛 指先を
ちらちら輝かせながら
ひかりのない いのちを
台無しにするぼくへ
ただお帰りなさいをこめた歌詞を
トンネルは狭かったね
草木は皮膚をかすめた
ひんやりとした石ころは
きっとぼくをわらっている
静かな森へ
ぼくは息をひそめて
ねぇ、本当はいなくなりたくない どこかへ
ぼくはもう かたちを
ねぇ、本当はもどりたいの
ぼくはまだ ありがとうも言えていない
苔むしたうろこは ぼくを見て
なにも言わずに ただそこにいた
頼りない枝に
祈りながらぼくは
さよならの窓を括りつけて
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