寡黙ながらも優しさを隠せない獣人。彼との関係性の変化が何よりも尊いです
- ★★★ Excellent!!!
世界観、そして主人公たちの関係性がとても魅力的な作品でした。
主人公である璃玖は気が付くと見知らぬ世界に来ていた。そこは今まで住んでいた場所とは異なり、「獣人」のようなものが支配しているのがわかる。
いわゆる異世界に来てしまったのかと戸惑う中で、璃玖は獣人のベルトホルトのもとに住まうことになる。「ニンゲン」である璃玖のような存在はこの世界では地位が低く、獣人たちに支配される状況にあることが見えてくる。
でも、ベルトホルトは何も知らずにこの世界に来てしまった璃玖のことを心配し、親身に身の回りの世話をしてくれる。
そうして少しずつ、璃玖はベルトホルトと過ごす時間を大切に思うようになっていき……。
なんといっても、璃玖の内面の揺らぎ、そして寡黙ながらも静かに璃玖のことを慮ってくれるベルトホルトとの関係性の変化していく様に強く引き込まれました。
そして、本作は「とある有名なSF映画作品(二本)」と世界観として合致するところがあります。
果たして、「その映画」とはどの作品か。映画好きながら読みながら推理していくのもまた一つの楽しみともなります。
璃玖とベルトホルトの間に横たわる、「とある事実」がもたらすもの。二人は一体どんな運命が待ち受け、どんな決断をすることになるのか。
壮大な一個の物語、強くオススメです!