第31話 竜の魔窟(3)
あれから数回に渡って魔物の襲撃があったがでかい猪(ジャイアントボア)や
でかい蛇(ジャイアントスネーク)や
でかい熊(ジャイアントベアー)と、遭遇したが獣系は、素直で俺が追い払った。
シグレは、殺しは嫌いなのもあって、ちょっと威嚇したら力の差を野生の勘で察知したのか皆逃げていった。
カイル王子は、戦いたがっていたが目的は、宝剣インフィニティの探索だ。
些細な魔物に体力をとられても、仕方ないだろ?と俺が説得して事なきを得た。
騎士達もムダに戦闘を行いたくない様で、
すんなり俺の意見は通った。
王女に文句を言われるかと、思ったが王女も実戦は、あまり経験が無さそうで戦闘を避けるのには、反対ではないみたいだった。
まぁ何にしても、殺したくないシグレアキラに、とっては良かったかな。
そうして1日歩き通した集団は、「竜の魔窟」と言う有名な高レベル探索場所と言うのもあって、戦闘は避けられてるが皆、精神的にもヘトヘトになっている様だった。
俺と、ウリシュク、ミリスは、元気な物で、まったく疲れていなかった。
シグレアキラは、その設定から人間離れした体力があるので、数10km歩いた所で何ら、問題は無かった。
ウリシュクも旅は慣れてるみたいで疲れてる様子もない。
さすがだ。
ミリスに、いたっては普通の人間に見えるがこれは仮の身体なので人間と同じ様な疲労はしないのだそうだ。
ヤケドはするけど、体力は無尽蔵なのか…
うん、でたらめな身体だ。
どうなってんだ?
集団は、森を進み少し開けた場所に出た。
森の中だが見通しの良い自然の広場の様に、なっていてキャンプを、するには最適だ。
ケンプ隊長も、そう思ったのか
「では、そろそろ夜もふける。夜間に、この魔窟を進行するのは危険だ。今日はここで、一泊し朝に出発しようと思う。良いですか?」
「うむ、俺は疲れていないが、妹も騎士達も疲労が、うかがえるな。良いだろう。ではその様にするか」
本当だ。
カイル王子は無理をしてる感じもなく、全然疲れてる感じではない。
さすがだな。
「では、交代で見張りを立てつつ、全員仮眠をとれ!食欲がなくても食事は取る様にな!無理しても食べておかないと身体が持たんぞ!!」
「はい!了解です!!」
一斉に騎士達が返事をすると、簡単な食事を作り出した。
火を炊き持参したパンを、温めたり水筒を取り出し、そこに入っていたスープを温めたりして各自食事を取っている。
ウリシュクの話だと、俺達は食事が出ない
契約なんだそうで、自炊が義務みたいだ。
まぁあんな硬そうなパンや、不味そうなスープを飲まされるよりは、良いかな。
すると騎士達が、野営用のテントを張り出した。
俺達はテントも割り当てられていない。
なんとも不親切な感じがするけど、雇われている冒険者には、それが当たり前みたいだ。
なら、俺はレオンに頼んで小さめの(3人、入れるくらいの)テントを、うまく目立たぬ様に転送してもらった。
(勿論今回は派手な出現エフェクトは無しだよ)
前に出した大きなテントに比べて今回のテントは、畳4畳分位しかないコンパクトなテントだ。
見た目も良く、アウトドアとかで見かける
普通のテントだ。
騎士達の出してるテントと比べても遜色のない普通のテントだ。
うん目立ってないね!
騎士達は手ぶらな俺達が、どうやってテントを出したのか不思議がっていたが、疲労困憊の彼らは、そんな事を気にかける余裕も、なさそうでスルーされてる。
うん、良い反応だ。
俺がしめしめと思っていると
「一体どこから、その様な荷物用意したんだ?」
と、体力の、あり余っている4人目の人間カイル王子が不思議そうに尋ねて来た。
「企業秘密ですよ殿下」
ウリシュクが、丁寧に説明する。
さすが、上手い事言う。
しかし翻訳されているからだけど、この世界に企業なんてあるんか?
まぁ似た様な事を本当は言ってるのを翻訳機が翻訳してくれてるんだろうけどね。
「フフフ なる程、本当にお前達は、面白いな。恐らくそれは空間魔法と呼ばれる物質の出し入れを好きな時に出来ると言う高等魔法の一つだな?宮廷魔術師から聞いた事があるからな。見た事は無かったがな」
「さすがは、殿下博学でいらっしゃいますね。まぁ正解です。その類の魔法を使っております。良くお分かりですね」
ウリシュクが、またまた上手い事を言って誤魔化してくれた。
空間魔法って何?
そんな便利な物が、この世界にはあるんだなまぁ俺達のは、只のレオンからの転送だけどね。
「フフ、シグレが戦闘の時に剣を出し入れしていたからな何も無い空間からな。多分その手の魔法だと思っていたよ。本当に金級と言うのは、伊達では無いな炎壊よ。空間魔法まで使いこなせるとは…国にも数名も居ない使い手だぞ?まさにお前は国の宝といえるな。ぜひ王宮に招き入れたいものだ」
「お戯れを。それは4年前にも、お断りした事案です。考えは変わりませんよ」
「フフ、分かってるよ。しかしおしいな、お前達が国に仕えてくれれば、我が国は相当に助かるんだがな…それに叔父上にも、お前達ならきっと助けになると思う事案が、あるのだ」
「叔父上と申されますと、カイエンギルドマスターの事ですか?」
「うむ、実は叔父上は…いや、これは正式に、お前たちに依頼された時に話す事だな。失礼した。だが、お前達の実力を知れば、きっと叔父上もギルドマスターとして正式に依頼されるであろうな。それだけお前達は強者である。何せ俺がまったく敵わない剣士など滅多に居ないし炎壊の実力は国々に広く知れ渡っているからな。只お前はふらりと、すぐ国を離れてしまって連絡を取りにくい。そこが難点ではあるがな!」
そう言って、ガッハッハと笑い声をあげる王子だった。
「いえ、ギルドマスターには私の依頼を把握されているので勝手に国を離れている訳ではございませんよ?」
「うむ、そうだろうな。お前達金級の依頼は達成するまで秘匿されているからな。しかし傍から見るとフラフラしている様に見えるのだ。許せよ」
そう言ってカイル王子は、がははとまた笑った。
うん?なんか王子、ギルド職員の、あのおっさんにちょっと似てるな性格が(まぁ年が全然若いけどね王子の方が)
「所でシグレ、サイクロプスとの戦闘で使っていた剣を見せてはくれんか?俺の使っている剣も国宝とまではいかんが、かなりの名剣なのだが、お前のあの剣は、それを超えている様に思えるのでな。気になってたんだ」
「え?ああ、ミスリルで造った、あの剣か?まぁ珍しいかな?ミスリル製って店でも高そうだったし」
俺はレオンに言って、剣を転送しようと手を伸ばしたが、ウリシュクが目で止めた。
すると通信で
[勝手に転移、見せちゃダメよ、面倒な事になるわよ?ましてや、この人、国の王子なんだし]
[大丈夫だろ、もう転移も空間魔法って事で認識されたみたいだし、この王子は信頼できるしな]
[はぁ…まったく、まぁ良いわ、どうなっても知らないからね忠告は、したから]
そう言って呆れ顔にウリシュクはなった。
それを見ていた王子は、何かを察した様で
「いや、興味本位なだけだ。剣をよこせとかバカな事は言わんから安心してくれ。
剣士として純粋に興味を持っただけだ。剣は戦士にとって、命の様な物だ。無下にはせんよ」
「ああ、それじゃ今見せるよ」
俺が手を伸ばすと、レオンが上手いタイミングで、剣を俺の手元に転送してくれた。
ナイスだな。
さすがレオン。
分かってるな。
「完成して、まだ数日しか経ってねーけど、中々使いやすいぜ?」
そう言って俺は、剣を王子に渡した。
「な、何!?軽いな、俺の剣の半分くらいの重さしかないぞ?強度は、どうなのだ?抜いて良いか?」
「ああ、問題ねーよ」
「じゃあ遠慮なく」
そう言ってカイル王子は、鞘に入った俺のミスリル製の剣を抜いて、ぎょっとする。
「こ、この刀身は…なんと美しい…これは、かなりの業物だな…少し振って良いか?」
「ご自由に」
「すまんな」
そう言って王子は剣を握りしめ数度振り回した。
「な、何と言う軽さだ…しかもこれは魔化されているな…魔力を込めて良いか?」
俺は頷く。
すると嬉しそうに王子は剣に力を込めている。
そしてまた、何度か剣を振り回し、鋭く素振りをした。
「こ、こいつは凄い、まるで手足のように扱えるな!しかも魔力も何ともスムーズに、込められる…俺の剣よりやはり、いや相当、上のランクの名刀だな!」
カイル王子は嬉しそうに、何度かまた素振りをして俺に剣を返してくれた。
「素晴らしい剣だ!俺は今まで、この様な名刀を持った事が無いぞ!さすがは炎壊のパーティメンバーだな!剣も一流だ!!」
「いや、こいつは俺用にチェーンしてるから他人じゃ少し扱いずらいだろ?お前用に剣を造ればもっと馴染んだ剣が造れると思うぜ?」
そう言って俺は、剣を転送して戻した。
「な、何!?今の剣と同等の物を、お前は造れると言うのか!?」
カイル王子が詰め寄って来る。
「そうだな、ちょっとお前の剣も見せてくれねーかな?」
「あ、うむ そうだな俺の剣も手に取ってくれて構わんぞ」
そう言うと王子は、俺に剣を渡した。
俺は鞘から剣を取り出し、握りしめ魔力(魂)を込めて数度素振りをする。
うん。
店で売ってた、どの剣よりかはマシだが、あまり魂は込められないし、ちょっと重い。
確かに俺の造ったミスリルの剣に比べると、かなり使いづらそうだ。
「これもミスリルっぽいな。でもあんまり良い剣じゃないな。俺ならもっとうまく造れるぜ?」
「な、何!?今お前何と言った?まさかお前、鍛冶屋でもあるのか?」
あ、マズった。
俺が剣を精製出来るのは、確か秘密にするんだったっけ?
「殿下、シグレなら見立てられると言う事です。シグレの年で剣など造れませんよ。誤解があれば申し訳ございません」
やんわりとウリシュクが、誤魔化してくれた。
うん。
これは後で、怒られる案件だね。
「そ、そうであろうな、俺と同い年で剣士であり、鍛冶屋である訳が無いな。しかし見立てられるとは…まさか良い鍛冶屋を知っておると言う事か!?」
「はい。名は申し上げられませんが、シグレの剣を造る名工を知っております。何なら、この依頼の後に殿下の剣を1本製作しても大丈夫かしら?シグレ?」
「あ、うん良いぜ?あ、でもミスリルとかの素材は用意してくれると、ありがたいけどね」
「も、勿論だ!ミスリルは、こちらで用意させてもらう!約束だぞ?お前と同等の剣!金は、いい値で支払うぞ!ぜひお願いする!!」
「はい、では この依頼が終わった後、こちらのシグレが受けたわまりまして、制作を刀士に頼んで造らせて、頂きますよ」
「あ、ありがたい!何と楽しみが増えた事か!期待しておるぞ!では休んでおる所を邪魔したな。朝まで休んで英気を養ってくれ!!」
そう言うと、気分良くカイル王子は、自分の天幕に戻って行った。
うんまぁ、あいつは良い奴だし、剣くらい造ってやるのは全然問題無いんだけど…
ウリシュクが、最大限のジト目で俺を、睨んでらっしゃる…
「シグレ、ここに座りなさい」
「はい…」
俺はこの後、さんざんウリシュクに説教されたのは言うまでもなかった…
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