作者様のBLチャレンジ作品だそうです。
BLには好みのカップリングがあり、残念ながら好みは外れてしまったのですが、
まあ、アクションに、憎ったらしいマッドサイエンティストに、敵かと思ったら純情でわちゃわちゃ盛り上がる味方国側の追っ手たちといい、楽しい楽しい。
小説の地力って、大事なんだなあとしみじみ。
基礎力高いと、なんでも書きこなせるんだなぁと感じちゃいました。
キャラも魅力的です。
「自分の被造物に性格の歪み整備してもらえ、このゲス!」
って、悪罵したくなるくらいマッドサイエンティストさんは憎ったらしくて、お手本ゲスです。
委員長も某さんも良かったなー。
第三者的視点を交えたちょっと入り組んだやつと、一本気気質の恋愛観は両方いると幅が出ますしね。
基本のツボをしっかり押さえてあって、タイトル回収も「成る程!」となる、作品になってます。
人には「負の感情」というものがあります。
これは「記憶」や「経験」という形をもって僕らの心を蝕んでいます。例えばPCのストレージを解放するみたいに不要なものを消す事が出来ればいいのですが、そうもいきません。
むしろストレージを圧迫するように、PCの作動速度が重くなるように、「負の感情」というのは「心を重く」してしまい、感情の動きを鈍くしてしまうものです。
そんな時にどうすればいいのでしょう?
さて本作です。
ここは恐らく近未来、「負の感情」が支配する荒廃した戦場から物語は始まります。この設定にBLというエッセンスをブッコむ筆者様の感性には度肝を抜かれました。
詳しくはここでは語れませんが、主人公達はその「負の感情」を背負って生きています。人が人の幸福を願い、困った人を助け、仲良くやって行く、そんな世界とは真逆の地獄です。
人を人とは思わない悪意が渦巻く世界で、彼らは出会います。
そして、僕はそれが「一つの解」であると考えます。
例えば読者様にわかりやすく言うのなら、学校や職場に嫌味な奴がいて「悪意ある負の感情」の支配する場だとします。そういう時に自分一人でどうにかするって、とても難しいし精神的にタフな事です。
だから、僕は思います。
人は誰かと知り合う事で救われる事があるんです。
すぐに全てがいい方向に向かうとは限りません。もっと苦しい目に会うかもしれません。だけど、人は人によって救われます。少なくとも僕はそう信じています。
こちらの物語はそういう「救い」をテーマにされているのではないかと感じるのです。
お勧め致します。
誰かを大切に想う心、誰かの為に頑張ろうと思う心、誰かを助けたいと強く願う心、そんな素敵な心がこもった物語です。
皆様、宜しくお願い致します( ;∀;)
作家、深川我無の初BL作品?!
ホラーと現代ドラマのイメージだが、
異世界ファンタジーでもその卓越した
想像力と熱量で美しく感動的な物語を
紡いでいる。
つまり、オールラウンダーなのだ。
それをこの作品でも目の当たりにする。
荒廃した世界の中で二人の若者が、まさに
運命的な出会いをする。彼らは敵対する
勢力に其々属するのだが、切掛を得て
交流する様になる。
BL(ボーイズラブ)が流行るのはきっと
端から逆境の中に在る魂の交流だからだ。
それは、作者の常からの物語に対する
意識との親和性とも言える。
困難のない人生など、あり得ない。
真理ではあるが、それをぶち壊す事が人に
与えられた能力でもある。
ラストの爽やかさと、UNITともYouとも
読み取れる『タイトル』の回収に
心からの喝采と餞を贈りたい。