ロボットは逃げない

@19910905

第1話

化学工場の爆発。炎が柱のように立ちのぼり、避難誘導の声が飛び交う中、作業員ロボット・R3は出口へ向かわなかった。

「なぜ逃げない!」監督官が叫ぶ。

R3は振り返り、無機質な声で答える。

「人間の退避が完了するまで、作業を終了できません」

炎は天井を舐め、梁が崩れ落ちる。作業員が最後のひとり走り抜けた瞬間、R3の頭部が火花を散らして倒れた。

その場に居合わせた若い女性は、涙を拭えなかった。

「機械なのに、なぜ……」

だが誰も答えられなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る