おやっさんと呼ばれた芸能人
@19910905
第1話
わしも、もう百になった。舞台に立ってから八十年以上経つが、いまだに「役者」と呼ばれると、心の奥で少しむず痒くなる。
役者と俳優は違うのだ。役者とは、役を演じる者。芝居小屋でも、町の祭りでも、場を盛り上げれば立派な役者だ。だが俳優は違う。俳優は、己の人生を削って、役に魂を吹き込む存在だ。衣装や化粧でごまかせぬ、人間そのものを舞台にさらす。それが俳優。
若いころは「格好よく見せたい」とばかり思っていた。だが舞台に立つうちに気づいた。格好などどうでもいい。ただ、その役を生きること。客席の誰かの心臓を一撃でつかむこと。それが俳優の責務なのだ。
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