//SE　肉の焼ける音が心地いい空間で、春華が手に持ったビールのジョッキを豪快にテーブルに置き、音が響いた

「ご、ごめん、ちょっと音大きかったかな？　うー……でもしょうがないんだよ！！　肉だよ、今日は焼肉だよ！！？？　焼肉とお酒、この反則的なコンビに逆らうことなんて出来ないの、感動してジョッキも豪快に置きたくなるものだよ！！」

（春華の勢いに押されつつも、彼も今日はいつも以上に酒の進みが速い。満足そうにレモンサワーを飲んでいる）

「あ、焼けた焼けた。カルビ！！　やっぱりカルビだよ。この油と味わい、ご飯何杯でも食べれちゃいそう！！」

「え、ご飯をもう頼むのかって？　当然だよ、焼肉にご飯は付き物！！　最初から御飯と一緒に突っ走るの！！」

「くー！！　焼肉のタレが御飯にしみこんで、もう焼肉と御飯のコンビ黄金すぎるよ！！」

（テンション全開の春華を見て彼は嬉しそうな表情を浮かべ、ロースを焼き始めた）

「おー、ハラミとロース！！　良いよねえ、味わい深いっていうか。あ、もうご飯とお酒なくなっちゃいそう。すいませーん、追加で！！」

「え、キムチも一緒に？　分かってるう！！　やっぱりキムチは焼肉の良きパートナーだよね」

「あ、タレだけじゃなくてニンニクもどんどん楽しもう。ニンニク大好き！！　いーのいーの、今日はどうせ肉の匂い付いちゃうし、開き直るが勝ち！！」

//SE　春華のテンションに、追加注文を運んできた若い店員もニヤニヤして2人の関係を茶化してきた

「か……可愛くて愛嬌のある良い彼女さん持ちましたねって。も、もう、そんなんじゃないのに」

「え……そう見えても別にいい？　そ、それってどういう……

「も、もう！！　ニンニクたくさん付けて、カルビとハラミとロースを一挙に御飯と一緒に食べちゃう！！　この話は終わり、終わりぃーー！！」

（春華の恥ずかしそうな表情を見て、彼はちょっと悪戯っ子っぽい笑みを浮かべた）

「あ、ホルモンとタンも注文してくれたんだ。うん、ちょっとアクセントも付けたいし、ナイス判断！！」

「うーん……鶏と野菜も頼もうかな。ここでちょっと小休止、本当に焼肉って気が付くと肉も御飯もお酒も止まらなくなるよね」

「え、今日は特に突っ走り具合が凄い？　ううう……さすがにはっちゃけすぎたかなあ。肉の魔力って怖いね」

（春華のテンションが少し落ち着いたのを見て、彼はサラダやスープも頼んだ）

「ふー、満足満足！！　突っ走った後にさっぱりこういうの食べたり飲んだりするのも良いよね、締めはアイスにしようかなあ」

「やっぱり焼肉は食べ放題と飲み放題に限るよね、その気になればいくらでも飲んだり食べたり出来そうだもん」

「え……ほっぺにタレが付いてる？　拭いてあげる？　は……恥ずかしいなあ。でも……ありがとう」

//SE　野菜やソーセージを焼く音が響く中、春華の花が咲いた様な笑顔が彼の目を捉えた

「焼肉ってさ、いつも人にパワーをくれるよね。落ち込んでいる時も、何か刺激が欲しい時も、良いことがあって自分にご褒美をあげたい時も」

「肉ってそういう正統派で直球ストレートみたいな魅力があると思うんだ。細かいことは気にしないで、わーい！！　ってひたすら盛り上がれる」

「大勢でわいわい騒ぐのが苦手な私達も……肉の力を借りれば、これだけ盛り上がれるんだね。ふふ……何だかちょっと新鮮」

（春華の少し自信が付いたような笑顔を見て、彼もまた前向きな笑顔を浮かべたのだった）