白色のヒマワリ

月ヶ瀬 杏

白色のヒマワリ

【このまえはごめんね】


 一週間前、きみに送ったメッセージが既読にならない。

 仲直りしたくてずっと待ってるのに。

 もう、わたしのことなんてどうでもいいのかな。


 きみとケンカしたとき、折れるのはいつもわたし。

 もう絶対に許さないって決意しても、離れたら淋しくて。結局、わたしから謝ってしまう。

 好きだから。きっと、わたしのほうが気持ちが想い。


 スマホを見つめて夜道を歩きながら、しばらく迷ってメッセージを送る。


【今なにしてる?】

【ひとことでいいから連絡ほしい】


 送ったメッセージは、やっぱり既読にならない。


 きみを想ってるのは、いつだってわたしばかり。


 きみの家から近い交差点で、泣きたい気持ちで足を止めた。


 横断歩道の手前に置かれているのは、白い菊や百合の花束。


 わたしはそこに、白色の小さなヒマワリを一本重ねた。


 めずらしいその花は、イタリアンホワイトというらしい。

 ここに来る途中に寄った花屋のお姉さんが笑顔で教えてくれた。

 花言葉も大切な人に送るのにぴったりですよ、って。


 もう一度スマホを確かめたら、送ったメッセージは未だに未読。


 マメじゃないのはわかってるけど、こんなときくらいはちゃんと見てよ。

 じゃないと、認めることになっちゃうよ。

 きみがもういないんだ、って。


 ケンカして別れて、まだ許されても許してもいないのに。


 ずるいよ。会いたいのに。これから先も、きみを想うのはわたしばかり。


 ずっと、わたしのほうが気持ちが重い。


 二度ときみに届かないとわかっていても、震える指でメッセージを送る。


【ずっと、ずっと好きだよ】


 これからも、あなたを思い続けます。


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白色のヒマワリ 月ヶ瀬 杏 @ann_tsukigase

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