第11話 贅沢な夕飯は幸福度まじで高い

「結構買ったな」


「流石に食べきれないんじゃないかなぁ…」


「まぁ、篤斗に頑張ってもらうか」


 時刻は2時ちょうど。俺たちはスーパーでの買い物も終わり、いまは家に帰ってきている。


「何買ったかもう覚えてないよぉ…」


「ははっ、確かにそのくらいの量はあるな」


 スーパーのビニール袋3つ分がパンパンになっている。中には主に魚が、そして野菜だったり足りない調味料だったりが入っている。


「分担どうしようか」


「これだけの量があったら分担しても大作業になるね…」


「ああ、そうだな…。とりあえず奈切は米を炊いてくれ」


「はいはーい」


 そうして奈切に炊飯を任せ、俺は料理にかかる。

 まずはサンマだ。軽く塩を振って、焼くだけだ。…だが、


「奈切は苦いの嫌いか?サンマのワタを抜こうか悩んでな」


「ワタって?」


「ワタっていうのは魚の内臓だ。サンマのワタは結構人気だけど、ちょっと苦いから別にオススメはしないな」


「へぇー、苦いのかぁ…。でもサンマのワタなんて食べたことないし、私はあっても良いかなぁ」


「よし、わかった。それじゃあそのままグリルで焼いていくぞ」


 グリルにサンマを乗せて、焼いていく。

 さらにその間に色々と調理をしていく。


「白滝、じゃがいも、人参、肉も入ってるね…。うん、うん…。よし、これで煮込むか」


「透、それは何?」


「これか? これは肉じゃがだな」


「肉じゃがかぁ…! やった!」


「ん~可愛いなぁ」


 こうして1品、もう1品と料理を完成させていき、時刻は5時を回った。


「こいつが最後の料理だ。焼いてくぞ」


「えっ、何その白いヤツ? なんかちょっぴりグロテスクだね」


「これはサケの白子だよ」


 そう、俺はあの時メインディッシュにインパクトを感じさせたくて、サケのコーナーでいろいろ考えてはみたが、ピンとは来なかった。

 だが、そんな時にこの白子を見つけたのだ。


「白子…! 何それ食べたことないよ…!」


「量もなかなかあるし、食べ応え十分だ。それに意外と安値で売ってるから、すごく丁度良かったんた」


 こいつを1口サイズに切り、バター醤油で焼いていく。


「ん、いい匂いするぅ~」


「もう少しでできるから、奈切は箸とか出しておいて」


「わかった~」


 これで最後の1品ができる。ふぅ、ご馳走を作るのって結構体力いるな。


 そうして俺は白子を調理し、食卓テーブルに持っていく。


「ふぅ、こう見ると圧巻だな」


「だねぇ~。食べ切れる気がしないなぁ…」


「流石の篤斗もこいつは厳しいかもな…」


 完成した料理はサンマの焼き魚、肉じゃが、白子のバター醤油焼き、ポテトサラダ、キノコの炒め物、その他もろもろのおかずだ。それから白米も3合炊いたので、ほとんどおかわりはし放題だ。


「さて、料理は全て完成したが、肝心の篤斗がまだ…」


 ピンポーン


「おっ、ウワサをすればだな」


 俺は玄関に向かう。


「はーい、いらっしゃーい」


「おっす、サンキュー透」


 ドアを開けるとそこには篤斗…と、もう1人の少女がいた。


「あれ? 君は確か…」


「あれ、穹ちゃん!? 穹ちゃんも来たの!?」


 篤斗の後ろにいた少女は、小金 穹であった。


「何でここに…!? まさか篤斗、誘拐…?」


「んな訳ねぇだろ! …部活帰りに鉢合わせてな。ここでお疲れ様会的な事やるって言ったら、来てみたいって言うもんだからよ」


「あ、やっぱり私…迷惑だったかな…」


「穹ちゃーん!」


 奈切が穹に抱きつく。


「わっ、奈切ちゃん!」


「いらっしゃい我が家へぇ~! よく来たねぇ!」


「なんだ、2人って仲良いのか?」


「うん! 4月は出席番号近くてよく話してたからねぇ~」


 へぇ、ここの2人仲良かったのか…。


「っていうか篤斗が穹さん連れてきた訳だけど、ここの2人も仲良いの?」


「あー、実は俺たちこう見えて幼馴染だからな」


「うん、幼稚園からずっと一緒の幼馴染」


「「ええええええ!!」」


 俺も奈切も驚きまくる。そりゃそうだ、この2人の接点なんて特に見たことなかったし…。


「…まぁ、いいや。取り敢えず立ち話じゃなくて座って話そう。2人とも入って入って」


「あ、うん」


「あぁ、ありがとな。…おっ、めっちゃいい匂いするな」


「だろ、わかるか?」


 今回の料理は奈切に手伝ってもらって、本当に自信作が作れた。


「じゃあ3人とも座っちゃって。俺は穹さん用の食器出すから」


「えっ、あ、ごめんなさい…!」


「気にしなくていいよ。むしろ作りすぎちゃってたから穹さんが来てくれて良かったよ」


「あ…ありがと」


 どうやら少しリラックスできたようだ。よかった。


「それじゃ、ジュースあるけど何がいい?リンゴとブドウとオレンジがあるけど」


「私はリンゴがいいなぁ!」


「私も…リンゴで…」


「じゃあ俺はぁ〜」


「お前はプロテインな」


「そんなぁ!?」


 一同にどっと笑いが生まれる。


「はははっ、嘘嘘! 何がいい?」


「ったく、ひでぇなぁ。じゃあブドウで」


「おっけ、ブドウ味のプロテインな」


「もういいっちゅーねん」


「はは、悪ぃ悪ぃ」


 そして俺は全員分のジュースをコップに注ぐ。


「運ぶの手伝うよ〜」


「あ、ありがとう奈切」


 俺たちは4人分のジュースを運ぶ。


「よし、それじゃあ場も整った訳だし…」


「早く、早く!」


「はいはい。それじゃ、期末テストの終了を祝って〜、」



「「「かんぱ〜い!」」」



 俺たちはそれぞれのジュースが入ったコップで乾杯をする。

 ふぅ、これでやっとゆっくりできるな。


「うぉぉ、改めて食おうとするとすげぇ豪華だな!」


「うん…! 篤斗くんは何食べたい…?」


「あー、まずはこいつかなぁ」


 そうして白子を取り箸で取る篤斗。


「おっ、そいつに手をつけるか」


「あぁ。昔お前から食わせてもらった事あるけど、まじで美味かったからな」


「あー、あれか。あの時も大会のお疲れ様会だったよな」


「あぁ。あの時はギリギリ全国に行けなくて、すんごい空気感だったよな」


「あー、そうそう」


「…透ー。身内ネタわかんなーい」


「あぁ、ごめんごめん。っし、みんな食べて食べて」


「じゃあ遠慮なく…」


 パクッ


「…!!」


「私もじゃあ同じやつ…」


 パクッ


「……」


「あれ? 穹ちゃん? どうしたの?」


 固まる篤斗と穹さん。


「これは俺の、特に得意な料理だからな」


 数秒後、口を開いたのは篤斗だった。


「うっっっっま!!!?! なんだこれ!!?!!?」


「…美味しすぎて、固まっちゃったよ…!?」


「えっ、そんなに!?」


 そして奈切もバッと白子を頬張る。


「…!!」


「どうだ?」


「しったげうまねぇ! 透ぅ、したっげすごぇよこれ!!」


「はは、気に入ってもらって何よりだよ」


「うぉっ、こいつもうめぇ!!」


「…! 美味しい!透くんってこんなに料理上手だったんだね…!」


「だべ! うぢの彼氏すごぇべ!」


「冷めないうちにいっぱい食ってよな」


 そして俺たちは夜までご馳走を堪能したのであった。

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『秋田犬にはもう飽きた件www』とふざけたら秋田出身の犬系彼女が泣きついてきた 赤海 梓 @tubaki-flower

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