死刑判決の悪役令嬢、初恋執事と逃亡中?!

若様

第1話 プロローグ "死刑宣告"




「悪役令嬢リーナ・ダリア。セレーナ・カトレア殺害の罪により、死刑を宣告する!」




場を切り裂くような声が響き、壇上に立たされた私の耳を打った。


その瞬間、激しい頭痛に襲われ、失われていた記憶が蘇った。



―― 何なの…頭がっ









ガラス張りのビルが並ぶ通りに、電車の走行音が途 切れ途切れに重なっていた。


駅前には絶え間ない人波が流れ、足音とアナウンスが交じり合う。



―― そうだ…私…



私の名前は、松井ミチル。

都内に住むしがない一般の大学生だ。

いつもの病院の帰りに、バ先から電話でクビ宣告をされ絶望の淵に立っていた。


「あーあ、大学の学費も危うくて水道代も払えてないのに…」


"通話終了"と表示された画面を見つめ、溜息を落とす。


改札から押し寄せる人波が、通りを絶え間なく埋め尽くす。


軋むような電車の音が重なる中、雑踏を切り裂くように子どもがひとり駆け抜けていった。


持っていた荷物を投げ出し、考える間もなく足が動いた。


鉄の車輪が迫る音と群衆の悲鳴が耳を裂く。

引き寄せた子どもを反対側へ押しやった瞬間、視界が大きく傾く。


轟音と閃光の中で、私の身体は一瞬にして掻き消えた。









激しい頭痛から我に返る。


目を開けばそこには断頭台、群衆の前に縛られた私と、それを囲む騎士たち。


そして壇上には、たった今、私に死刑を言い渡した王太子が立っていた。



――え、えぇぇ!!!

死刑!?死刑って言った!?今ッ!?

前世で死んだばっかなのにまた死ぬんですか私ッ!?

冤罪ですわよ!!!冤罪なんですけどォ!?



必死に心の中で叫んだところで、誰も応えてはくれない。


何故、私が死刑宣告を受けているのか――


それは、数日前に起きた“あの事件”から始まる。


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