死刑判決の悪役令嬢、初恋執事と逃亡中?!
若様
第1話 プロローグ "死刑宣告"
「悪役令嬢リーナ・ダリア。セレーナ・カトレア殺害の罪により、死刑を宣告する!」
場を切り裂くような声が響き、壇上に立たされた私の耳を打った。
その瞬間、激しい頭痛に襲われ、失われていた記憶が蘇った。
―― 何なの…頭がっ
◇
ガラス張りのビルが並ぶ通りに、電車の走行音が途 切れ途切れに重なっていた。
駅前には絶え間ない人波が流れ、足音とアナウンスが交じり合う。
―― そうだ…私…
私の名前は、松井ミチル。
都内に住むしがない一般の大学生だ。
いつもの病院の帰りに、バ先から電話でクビ宣告をされ絶望の淵に立っていた。
「あーあ、大学の学費も危うくて水道代も払えてないのに…」
"通話終了"と表示された画面を見つめ、溜息を落とす。
改札から押し寄せる人波が、通りを絶え間なく埋め尽くす。
軋むような電車の音が重なる中、雑踏を切り裂くように子どもがひとり駆け抜けていった。
持っていた荷物を投げ出し、考える間もなく足が動いた。
鉄の車輪が迫る音と群衆の悲鳴が耳を裂く。
引き寄せた子どもを反対側へ押しやった瞬間、視界が大きく傾く。
轟音と閃光の中で、私の身体は一瞬にして掻き消えた。
◇
激しい頭痛から我に返る。
目を開けばそこには断頭台、群衆の前に縛られた私と、それを囲む騎士たち。
そして壇上には、たった今、私に死刑を言い渡した王太子が立っていた。
――え、えぇぇ!!!
死刑!?死刑って言った!?今ッ!?
前世で死んだばっかなのにまた死ぬんですか私ッ!?
冤罪ですわよ!!!冤罪なんですけどォ!?
必死に心の中で叫んだところで、誰も応えてはくれない。
何故、私が死刑宣告を受けているのか――
それは、数日前に起きた“あの事件”から始まる。
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