選択肢を間違えた件について

もっちゃん(元貴)

第1話 一回きりの人生

 

 ードスッ



 「わっ!?」


 仕事から帰宅する道中に、前から来た人がいきなり、わたしにぶつかってきた。


 その刹那、ぶつかった時の痛みとは違う強い痛みを感じたお腹に目線を向けると驚いたことに、ナイフが刺さっていた。


 「えっ?」


 一体どういうこと? 



 理解が追いつかないわたし…



 とりあえず、刺した人を見てみるとなんと驚くことに、親友の良子だった。


 刺された理由なら大体見当がつく。


 おそらくもうすぐわたしの夫となる彼が目当てだろう。


 なぜなら、本人からは聞いていないが、良子も彼のことが、好きだと思うからだ。


 しかし、まさかわたしをナイフで刺す凶行にでるとは、思いもしなかった。



 どうやら人生の選択肢を間違えたようだ。



  どこで、選択肢を間違えたのだろう?



  わたしに、幼馴染の彼が告白した時?



  それとも、良子に彼を紹介した時? 



 または、良子に彼と結婚すると報告したとき?


 答えを考えていると良子の後ろに、誰かいることに気がついた。



 暗い夜道の中、目を凝らしてみるとなぜかわたしの最愛の人が…

 

 どうして彼がいるのだろう?



 その理由が一瞬でわかった。



 わたしに見せつけるように良子と手を繋いで、薄ら笑いを浮かべていたからだ。



 なんだ、そういうことか…


 

 わたしは、次第に意識が遠のき後ろ向きに倒れながら、最後にこう思ったのだった。

 


 —どうやら、選択肢を間違っていたんだと—


       ——バタッ

 


          終

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