トイレットウォー 〜夢の中の本能と理性の戦い〜

NOGRAY

序章 

私は、どこにでもいる平凡なアラフォーの男だ。

しかし最近、やたらと「トイレの夢」を見るようになった。

これまで一度もそんな夢を見たことはなかったのに、なぜか今になって急にだ。


人間の体というのは本当に不思議だと思う。放水を知らせるために、脳はわざわざトイレの夢を見せてくる。だがその一方で、深層心理は「絶対に放水してはならぬ」と強固に制御し、夢の中のトイレをことごとく使えないものに変えてくる。


この相反する二つの力のぶつかり合いが、私の夢の中で繰り広げられる。

そして勝敗はただ一つ、私が現実で放水してしまったかどうか。


負ければ、長年ひっそりと守ってきたプライドのようなものを失うだろう。

だが幸い、今のところ私は無敗だ。

まだ一度も現実の布団を濡らしたことはない。


私は必死の攻防の末に目が覚め、現実のトイレに駆け込む。

そして、安堵の息を漏らす瞬間に私はいつも思う。


今宵も、戦いの火蓋が切られるかもしれない。

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