第9話 冒険者の忠告

 祈祷所前の報告と見取りの写しを詰所へ渡し終えると、日は傾き、王都の影は石畳の目に沿って長く伸びていた。課題の終わり時刻までは少し余裕がある。俺たちは十歩の感覚を胸で撫で直しつつ、角を三つ折れて小さな横丁に入った。そこには、昼に一度だけ暖簾を覗いた小酒場がある。表の扉は半開きで、干し草の匂いに混じって、煮込みの香りと安い葡萄酒の酸味が漏れ出していた。

 カウンターの奥では、女将のグリダが大鍋を木杓子で回し、低い火が鍋底を撫でている。その手前、背の広い男が片肘を乗せて、磨いた鉄のような盾を壁に立てかけていた。大盾のミロだ。隣には弓のサーシャ、灰目の短剣使いカムロ。前に会った冒険者の三人が、こちらに気づいて顎を上げる。

 「生きて戻ったな、学園組」ミロの声はいつも通り低く、しかし少しだけ柔らかい。「顔色は悪くないが、指先がまだ震えてる奴がいる」

 視線がリィナに行く前に、彼女は自分の手を見て、指をぎゅっと握り、ゆっくり開いた。「震えは止まりました。……たぶん」

 「止まったんじゃなくて、止めたのね」サーシャは椅子の背に弓を立てかけ、指で弦を軽く弾く。「その違いを、今のうちに覚えておくと良いわ。止まったと思うと、次の一撃で崩れるから」

 グリダが湯気をまとわせた木皿を四つ置き、薄いパンと豆の煮込みを「学園割でね」と笑って押し出す。エリオの腹が素直に鳴り、俺たちは礼を言って席に着いた。ローザリアは木札を喉元で押さえたまま姿勢を正し、卓の中央へ視線を落とす。

 「祈祷所前、あれは割れた月の手口だ」ミロが葡萄酒を一口飲み、言葉を置く。「梁と橋裏、目眩ましの粉、小玉、紐。表の顔は“回収”、裏は“流し”。お前らが紙と声で通してくれたおかげで、あいつらは今日、深追いをやれなかった」

 「紙を掲げる前に、怒りで線を越えそうになりました」リィナが小さく言う。「水で締めず、離させる……それで保てた気がします」

 「水は便利だが、街では重さの順番を崩す刃にもなる」カムロが空の杯を指で回す。「今は君の“鞘”が勝った。次も勝てるように、手順を身体に刻め。手順が怒りを支える」

 俺は豆を一粒、舌でころがしながら、今日の四段の重さを胸で復唱する。刺し×三、一拍×零、二拍×零、強×零。剣は抜かず、場所を先に示した。未使用は未練にしない——その一行が、温い煮込みの塩気みたいに身体へ沁みる。

 「学園のやり方は“まっすぐ”ね」サーシャが弦から指を離す。「紙→声→退路→術。とても綺麗。けど、路地は時々、曲がってるの。だから、三つ覚えなさい」

 彼女は指を三本、卓に立てた。「見張りの目、抜け道の口、そして面目の耳。目は高いところにいる。口は狭いところにある。耳は人の中に散らばってる。どれか一つでも見落とすと、紙の白が灰色に濁るの」

 「俺たちは昨日、その“目”に橋裏で会った」俺は灰色頭巾の影の動きを話し、張り綱の一拍、天幕で落下の線を逸らした手順を伝える。ミロは頷き、「天幕を使ったのは良い。民具は街の盾だ。壊すな、借りろ、返せ。借りたら礼を言え」と短く言う。グリダが「聞いた?」と笑い、カウンターの奥で新しいパンを切った。

 ローザリアが慎重に口を開く。「わたくしたちは“通す声”で人を退かせることを学んでいます。女将、もしも……声を掛ける“高さ”や“長さ”に、街の作法があるなら教えてください」

 「あるともさ」グリダは杓子を止めずに言う。「昼は高い声が飛ぶ、夜は低い声が通る。広場は長い言葉が似合う、路地は短い言葉が効く。祈祷所前は低く短く、市場の真ん中は高く短く、酒場の中では低く長く。間違えると、場数で負けるよ」

 ローザリアは木札の裏に“低短/高短/低長”と走り書きし、喉元で一度だけ小さく鳴らして高さを確かめた。音は梁に当たらず、卓の面で柔らかく解ける。サーシャが満足げに頷く。

 「それともう一つ」カムロが声を潜めた。「“割れた月”は、印のない買い手を橋の裏で探す。君らが紙で詰所へ流す間、奴らは“別の口”を開ける。図譜を作ってるんだろ? 梁、橋裏、出窓、張り綱、祈祷所前、井戸の縁も足しておけ。水の音は声を食う」

 「井戸……」リィナの指がわずかに止まる。「水際では、私の声も沈む」

 「だから鈴を低くするのさ」ミロが卓を軽く叩く。「梁に当てるな。足元帯域で合図して、耳を足へ連れてこい。足に届けば、人は自分で退く」

 エリオは縮刷見せ札の角を整えながら、眉を上げる。「それを体系に入れる。高さの図も別紙を作ろう」

 「図は良いが、図だけ追うな」サーシャが目を細めた。「図は場を“固定”する。街は毎日、違うの。図は“昨日の街”。今日の街は、今日の鼻と耳で掴むこと」

 俺はうなずきつつ、パンを噛み切る。外は堅く、中はまだ温かい。顎に伝わる抵抗が、今日の石畳の粘りを思い出させる。舌に残る塩気は、粉袋の白を流した水の味に似ていた。

 「最後に、恋の忠告」唐突にサーシャが笑って、ローザリアを見る。「声を通す人は、人の心も動かす。動かした自覚を持って、受け止めなさい。戦いの後の“ありがとう”は時々、誓いになるわ」

 「……心得ます」ローザリアはわずかに耳を赤くし、木札を喉元から離す手が一瞬だけ震えた。俺はその震えが緊張によるものか、別の熱によるものか判断せず、ただ卓の上の見取りに「明日:井戸の縁/高さ図」と書き足した。

 ミロは最後の一口を呑み込み、盾を肩へ掛ける。「学園組。今日の順番は正しい。未使用は未練にしない、それを忘れるな。残した重さは明日に効く。明日、街がまた違う線を見せても、手順が骨で、骨は裏切らない」

 グリダが会計札をひらりと置く。「代は学園割、ついでに女将の忠告割。怪我をする前に食べな、寝な、そして図を明日に回しな」

 俺たちは礼を述べて立ち上がる。扉を押すと、夕風が胸の熱を撫でて過ぎた。王都の鈴は遠くで一度、低く鳴る。未使用は未練にしない——胸の内で呟き、十歩の帯を確かめながら、学園の灯へ向けて歩を整える。


 酒場を出ると夕風は葡萄酒の酸味と煮込みの香りを薄めながら路地の湿りを撫で、天幕の継ぎ目に溜まった雨粒がたわんだ布からすべり落ちて石畳に小さな丸い痕を残し、屋台の魔道ランプは日没前の薄闇に負けぬよう低い帯で光を敷き、通りの遠くでは鍛冶場の金床が最後の火花を散らしていたから、俺たちは十歩の感覚を胸でなぞりつつ歩幅を合わせ、紙→声→退路→術は最後という順番をもう一度だけ心で並べ替えてから角をひとつ抜け、広場に出る手前でミロたちと別れの挨拶を交わした。

 「井戸の縁、忘れるな」ミロは盾の縁を軽く叩いて合図をし、サーシャは弓を肩に掛けながら「高さの図は今日の耳で描くのよ、昨日の図に頼りすぎないこと」と釘を刺し、カムロは短剣の鞘を握って「もし橋裏で“買い手”に出会っても、記録と合図を先に、刃は最後だ」と低く言い、女将のグリダは扉の陰から「腹が減る前に戻りな」と手を振ったので、俺たちは一斉に会釈を返し、寮へ向かう大通りへと足を返した。

 通りは昼の熱気を薄く残しながらも夜の息に切り替わりつつあり、果実屋の棚には売れ残りの林檎がわずかに光を返し、香草屋の束は乾き、焼き串の屋台は脂の香りをまだ漂わせ、通りの端では子どもが石蹴りをして笑い、母親がそれを追いながらも荷の紐を固く握っていたし、兵の巡回鈴は梁に当てない高さで一度だけ低く鳴って、路上の音の流れを整える。

 井戸は広場の角にあり、石積みの縁には昼の間に汲まれた水が斑にこぼれて黒い輪を作り、手押しの滑車の鉄が夕の湿りを吸ってうっすら赤く、桶の木は水を飲んで重くなっていたから、俺は足を止めて縁の高さ、滑車の音、周囲の店の並び、開けた退路の幅、張り綱の角度、鈴の高さがどこまで届くか、全部を一枚の図に重ねるように目でなぞり、胸の中の「高さの図」の空白を埋めるつもりで深く息を入れた。

 ちょうどそのとき、井戸の向こう側で小さな揉め事が起こり、樽を転がしていた少年が酒場帰りの男の足にぶつけてしまい、男が短く怒鳴って少年の襟首を掴もうと手を伸ばし、少年は樽を庇って身を引き、桶の縁に踵を引っ掛けたから、俺は反射で紙→声→退路の順番を走らせ、胸の高さで見せ札を傾けながら「ここでは決められません、窓口で続けましょう」と短く置き、ローザリアは即座に「今止まるとあなたが損になります、通路を空けて」を低く短く、井戸の縁では声が沈むという女将の忠告どおりの帯で通し、エリオは樽の転がる可能性を見て肩を入れて楔をつくり、リィナは井戸の水音が声を食うことを意識して鈴の代わりに杖の石突を足元で一度だけ打って地面の低い音を作り、観衆の足を半歩だけ石から剥がした。

 酒に赤い顔の男は最初こそ反射で声を上げようとしたが、紙の白に視線が落ちた瞬間に喉の勢いが半拍抜け、襟に伸ばした手は空気を掴んだだけで止まり、少年が桶を避けて体勢を整える半拍の道が生まれ、俺は一拍や刺しを使わずに退路の線が自分で太るのを見届け、リィナは「大丈夫、大丈夫」と低く短い声で少年の肩を撫でるように通して呼吸を落ち着かせ、エリオは樽の車輪に足を添えて転がらないよう角度を調整した。

 「ここは井戸だ、声は短く低く」ローザリアが自分にも言い聞かせるように囁き、木札を喉元に押し当ててから男へ「水際での揉め事は足元を滑らせます、続きは向こうで」と面目の退路を示すと、男は不満げに舌打ちをしただけで襟を掴むのをやめ、樽の少年は何度も頭を下げ、周囲の店主が「気を付けろよ」とだけ言って肩を引いたから、井戸の縁の空気は水の温度に合わせて静かに沈み、巡回の鈴が再び低く鳴って場を締め、俺は高さの図に「井戸=低短/鈴は足元/紙は白を長く見せず短く」と太字で書き加える。

 その一連が片付く間に、ローザリアは俺の横で呼吸を整えつつ木札の裏に新しい記しを加え、リィナは井戸の石の湿り具合を指先で確かめながら水際では風帯が上に逃げやすいことを小声で共有し、エリオは縮刷見せ札を一枚だけ井戸の柱に寄せ、風で捲れないかを試しては「縁の石の粗さなら、角を二度折れば保つ」とメモを加え、俺は全てを重ねて図譜の余白に「水の音は声を食う、ゆえに足で聞かせる」の一文を走り書きした。

 広場を離れて大通りへ戻ると、王都は日暮れの色を深くし、飴屋の鍋は冷え、羽根飾りの店の橙色のランプは布の色を濃く染め、香の店の青い煙は細く棚引き、馬具屋の皮革は油の匂いを厚くして、通りの端では楽士が小さな竪琴を弾き、短い旋律を何度も繰り返していたので、俺はその繰り返しを聞きながら歩のテンポを落とし、心の中の十歩の線を音に合わせて踏み直し、今日という日の流れに合わせて体内の順番を固める。

 道すがらローザリアが少し息を吸ってから俺に向き直り、「さっきの酒場で言われた“恋の忠告”……わたくし、人の心を動かす責任を、たぶん過小評価していたのだと思います」と真顔で打ち明け、木札を喉元から少し離し、「通す声で道を開けるほど、相手の心も触れてしまうのですね、今日の女の方の手の震えが、わたくしの指に残っています」と言い、俺はその言葉に即答を探すのではなく、まず彼女の歩幅に自分の歩幅を合わせ、夜風の温度を一緒に胸に入れてから「動かした自覚を持つ、と決めておけば大丈夫だ。俺たちは“奪わずに離させる”を選ぶ、だから触れても締めないし、導いても引きずらない」と短く返し、ローザリアはふっと息を吐き、「なら、安心しました」とほんの少しだけ微笑を乗せた。

 エリオは前を歩きながら後ろへ半分だけ顔を向け、「責任の話が出たところで悪いが、俺には腹の責任がある、寮の夕餉の鐘が鳴る前に帰らないと、学園割が効かなくなる」と言って肩をすくめ、リィナが思わず笑いを漏らし、俺もつられて笑い、緊張で硬くなっていた背中の筋肉がすっと解け、笑いの終わりで再び順番を胸に並べ直し、鈴の音が遠くで低く一度鳴るのを聴いて歩調を整えた。

 角を左に切ると、学園へ続く並木道に冷たい影が落ち、木立の間から見る空は群青を濃くし、塔の先端の観測台に灯りが一つ、星よりも早く点り、風は草の青臭さを混ぜ、石塀の上には猫が背中を丸め、こちらを半眼で見たあと欠伸を一つこぼして姿を消し、遠くの校庭ではまだ剣の音が金属質に二度三度と返っていた。

 寮門の前まで来たところで、再び小さな事が起き、門の傍の掲示柱の下で一年生らしい二人が口論をしていて、片方が課題の紙を握りつぶし、もう片方がそれを取り返そうとして手がぶつかり、紙が舞い上がって敷石に落ちようとし、そこで風が柱に当たって紙の端を押し上げ、紙は寮門の外へ逃げそうになり、俺は思わず半歩出て紙の端を押さえつつ、ふたりの間に紙の白を立てるように掲げ、「ここでは決められません、続きは監督教員の前で」と短く置き、ローザリアが「今止まるとあなたが損になります」を足元帯域で低く通し、リィナが石突きを一打、エリオが「退路はこちら」と肩で示し、紙を握っていた手の力は自分で抜け、口論は空気を抜かれた袋のようにしぼみ、ふたりは渋々ながら寮守の机へ向かった。

 その瞬間、俺はミロの「図は昨日の街、今日の街は今日の鼻と耳で掴む」を思い出し、紙が風に乗る角度、柱の面取り、掲示釘の位置、寮門の渦、鈴の高さ、全部がさっきの井戸と違うことに気づき、図譜の余白に「掲示柱=風の渦/紙は縦に構えると“白”が通路になる」と書き込み、これで今日の見取りは一応のまとまりを見せ、未使用の重さはまだ残っているが、未練にしないという一行が胸で静かに光った。

 寮門が開き、番をしていた警護が「本日中の市中課題終了、報告は明朝」と短く告げ、俺たちは一礼して中庭を横切り、作業室へ向かう廊下で靴音を静かに重ね、部屋へ入ると机を二つ寄せ、図譜と稽古録を広げ、まずは今日付けの見出しに「市中—井戸—掲示柱—高さ図(初稿)」と書き、朱で“割れた月”の符号に薄い斜線を足して「祈祷所前—報告済」と注記し、紙の束の角を整えながら、喉の奥に残った葡萄酒の酸味と香草の匂いが薄れていくのを感じ、窓外の群青がさらに深くなっていくのを眺め、灯りを一段落としてから次のページに「今日の忠告:目=高、口=狭、耳=散。井戸=低短、掲示柱=縦白。未使用は未練にしない」と記し、ペン先に付いたインクを慎重に拭い取った。

 書き終えるとちょうど夕餉の鐘が三度鳴り、食堂へ向かう廊下は温かい煮込みの匂いで満ちていたから、俺たちは互いに目配せをして立ち上がり、扉を閉める直前にローザリアが小さく木札を鳴らし、「今日の声は、明日の道になりますように」と呟き、俺は「先に場所を」と返し、リィナは「そして先に鞘を」と続け、エリオは「その前に先に飯を」と締め、笑いながら灯りを落として食堂の灯へ向かった。


 食堂は夕餉の匂いで満ち、皿を運ぶ音と木椅子の軋みが重なっていた。温いスープの湯気に鼻腔がほどける一方で、頭の芯は今日の路地の線を離さない。俺たちは壁際の四人卓に腰を下ろし、最初の一口で胃に火を点けると、自然と話は図譜の続きへ滑っていった。エリオはパンの欠片を楊枝のように動かしながら「高さの図は“人の耳”が基準だな。道具や建物じゃなくて耳。昼は高く、夜は低く。井戸は低短、掲示柱は縦白」と要点を並べ、リィナは匙を置いて「水際は風帯が上に逃げやすい。だから鈴で足を呼ぶ。声は短く、目は高く、口は狭い」と女将とサーシャの忠告を小さな声で復唱する。ローザリアは木札の裏に細い字で“低短/高短/低長”と縁取りを重ね、喉元にそっと当てて高さを確かめてから「明日は実地で“耳”を確かめます。街の耳を借りるつもりで」と締めた。


 膳を半分ほど平らげた頃、寮母が封蝋の付いた紙片を運んできた。封に押されているのは酒場“グリダ亭”の小さな葡萄の印。開くと、走り書きの短い文。「梁の目が東の船渠へ移る。買い手は“赤い鉤”の印。学生は出るな、知らせだけ回せ」。ミロの字だ。俺たちは目配せし、皿を片付けるより先に机端で段取りを組む。報せは王都警備隊の詰所へ、二重で。ひとつは学園の監督教員印を付けた正式文書、もうひとつは現場の合図に繋がる簡易文。紙→声→退路のうち、今日は紙を最初に厚くする番だ。俺は稽古録の余白を切り出して簡易文を認め、ローザリアは監督教員への文面を整え、エリオは縮刷見せ札に“東船渠—赤い鉤—橋裏—今宵”の四語を太字で刻み、リィナは鈴の鳴らし方を“梁に当てない、足元低く短く×二”と備考欄に追記して、四人の手が音もなく回った。


 食後の鐘が鳴るや否や、俺とローザリアは監督教員ハルトマンの部屋の扉を叩く。粗野な外見に似合わず、机上は見取りと図譜が整然と積まれている。「報。市中の酒場“グリダ亭”より、冒険者ミロの通報。割れた月が買い手を東の船渠へ誘導。“赤い鉤”が目印。学生は現場介入せず、詰所へ連絡」。ローザリアの声は低く短く、祈祷所前で通した帯域そのままだ。ハルトマンは頷き、机の引き出しから朱印を押し、詰所行きの封筒を二枚作る。「学園は夜間、市中への出入りを禁じる。だが報せは回す。未使用は未練にしない、よく覚えておけ。重さは残した方が明日、効く」。彼の口からその一文が出た瞬間、紙の上で今日の手順が一本の線になって結び直される感覚があった。


 詰所へ持参するのは護衛に託す手順になっている。廊下の陰から控えていた隊士が封を受け取り、「船渠の梁は幅が狭い。鈴を低く、足で通す」と短く復唱してくれた。俺は一礼して部屋を辞し、石造りの渡り廊下に出る。群青はすでに黒に寄り、庭樹の影は地面に濃い網を落としている。ローザリアが歩幅を合わせ、横顔を夜気にさらした。喉元の木札に月が小さく映る。彼女はしばし黙ってから、ぽつりと呟いた。「“人の心も動かす責任”——さきほどわたくしが言った言葉、あれは、あなたにも返さないといけませんね。今日、あなたが紙を先に掲げてくれたから、わたくしは声を乱さずに済みました。……ありがとう」。俺は言葉を探すのをやめ、かわりに十歩の線を半歩だけ広げて彼女の歩に合わせ、短く返す。「こちらこそ。君の声が先に通ったから、俺の重さは最後で済んだ」。会話はそれ以上伸ばさず、それで十分だった。


 寮の作業室へ戻ると、エリオとリィナが地図板の前で東の船渠周辺の写しを拡げていた。橋の数、梁の高さ、張り綱の位置、詰所と祈祷所の距離、逃げ場になりうる倉庫の扉の向き。エリオは“耳の高さ”を地図の縁に段階で書き込み、リィナは“水の音が声を食う”を白墨で三か所に丸で囲む。「ここ、井戸がある。こっちは堀の吐き出し。鈴は低く、二度。声は短く」。彼女は蜂蜜水で喉を軽く湿らせる癖を忘れずに、それから俺へ掌を差し出した。「さっきの硬化、痛む?」。骨の芯に残った鈍さはあるが、皮膚は無事だと伝えると、リィナは小さく頷き「なら、未使用は未練にしない。今夜は休んで、明日、耳を鍛えよう」と言った。


 図譜に新しいページを作り、表題に「高さの図(初稿)」「目=高/口=狭/耳=散」「井戸=低短/掲示柱=縦白/船渠=低低」と記して、今日の経験を線で繋ぐ。線と線の交点に“鞘”と書き、怒りを納める位置を明確に置く。ローザリアは言い回し三本に“夜=短低/昼=短高/屋内=長低”の備考を添え、エリオは縮刷見せ札の印字をほんの少しだけ濃くして「風で捲れぬ」か試し、リィナは鈴の紐を結び直して「梁に当てない結び目」を見つけ出した。誰も刃の話をしない。刃を抜かず、だが抜く日のために足と耳を磨く。今日の冒険者の忠告は、戦い方ではなく“通り方”だった——そう胸のどこかで訳し直し、最後に巻末へ三行をもう一度書く。『紙→声→退路→術(最後)。順番は場の骨。』『重さは選ばせるために置く、奪うために置かない。』『未使用は未練にしない。』


 消灯前、窓を開けると、王都の夜は意外に静かで、遠くの鈴が一度だけ低く鳴った。船渠の黒は庭の樹影に似て、近くて遠い。俺は指先で机の木目をなぞり、前世で竹刀の柄に刻まれた溝の感触を思い出す。踏み込み前の半拍、抜かない間合い、肩の角を撫でる呼吸。ここで眠れ、という合図を身体に送る。ローザリアは木札を喉元で一度だけ鳴らし「明日も先に場所を」と囁き、リィナは「そして先に鞘を」と続け、エリオは布団を抱えたまま「先に寝る」と言って笑いを落とした。灯りが順に消えて、最後に残った紙の白が月に淡く光る。未使用の重さは明日へ残す。未練は置かない。明日の街は明日の鼻と耳で掴む。そう決めて、目を閉じた。


 夜は深く落ち、鈴が一度だけ低く鳴ってから静けさが続き、目を閉じる前に胸で順番を並べ直したまま眠りに落ち、目覚めは鐘より早く訪れ、窓の外の群青はまだ薄く、東の空は灰を溶かしたような色で、呼吸を二つ整えてから布団を畳み、机の上の図譜を手で撫で、紙→声→退路→術は最後、と心に置き直してから身支度を整え、寮の外に出ると庭の草は夜露で冷たく、靴底に柔らかな湿りを残し、空気は川の匂いを少し運び、王都はまだ眠りと目覚めの境界にあった。

 早朝訓練場には誰もおらず、石畳の白い目地は露で細い線を光らせ、木杭の影は長く伸びていて、俺は十歩の線を引かずに踏み、踏み込み前の半拍を腹で止め、肩の角を撫でて抜かない間合いの軌跡だけを繰り返し、その最中に足音が二つ加わり、リィナが杖を抱えて、ローザリアが木札を喉元に当てて現れ、ほどなくエリオが縮刷見せ札と鈴の紐を肩にかけて走り込み、「耳の稽古」を合図もなく始められると分かった。

 まずは“高さの図”の初稿を地面に写し、円の内側に「低短/高短/低長」を三分円で描き、井戸=低短、掲示柱=縦白、船渠=低低、と昨日の項目を周縁に書き足し、音を置く順番は足→喉→鈴、梁に当てない、と赤鉛で縁取り、ローザリアが低く短く「通路を空けて」を三度置き、高さと長さを一音ずつ変え、どの帯域で石が震えるかを確かめ、リィナは杖の石突を足元で一打、二打、三打と増やし、足裏への届き方を確かめ、エリオは鈴を握ったまま鳴らさず、紐の結び目が梁に当たらない位置を指で探り、俺はその全てを視線で重ねて図譜の余白に矢印で書いた。

 次に“耳の稽古”。リィナが井戸を模した木桶に水を張り、指先で水面を弾いて雑音をつくり、ローザリアがその上に低短を重ね、声がどれだけ沈むかを測ると、やはり水音は声を食い、半拍で消えるため、鈴を足で二度、低く短く補助し、声は短く区切り、紙を長く見せず、白は縦に掲げる、と三行で結論を置き、俺は一拍や刺しをむやみに混ぜないよう腹で自制し、未使用は未練にしない、を胸の真ん中に貼り付けた。

 その流れで、学園の鐘が一度だけ鳴って朝の区切りを告げ、訓練場の端にハルトマン教官が現れ、粗い外見に似合わず足音は扉の蝶番のように静かで、俺たちの図の円を一瞥してから、「昨夜の通報は詰所から返答が来た。船渠の“赤い鉤”は見張りだけで買い手は現れず、張り綱の落下で退いた。報せは通したが刃は使っていない、それでいい」と短く告げ、さらに「高さの図は、耳の“疲れ”も加えろ。朝は耳が澄む、夕は濁る。濁った耳に高い声は刺さらない」と新しい軸を投げ、図譜の円に「耳疲:朝○/昼△/夕×」と追記し、俺たちは頷きとともに線を一本増やし、図が少しだけ生き物のように見えた。

 教官は木杭の二本を指で示し、「ここが“口”。狭い“口”に長い言葉は詰まる。短く押し出し、後は足で聞かせろ」と言って、木杭の間を一歩で抜け、次の瞬間には踵で石を軽く叩いて音を足元に残し、言葉を減らした分だけ、足が語る、という見本を見せ、ローザリアは無意識に木札を喉元から僅かに離し、声を短く絞る癖を体に覚えさせ、リィナは息の終わりを早め、エリオは鈴の紐を二度結び直し、結び目の重みを指で確かめた。

 稽古の後半は“街の模擬”。訓練場の道具倉から張り綱、天幕、壊れかけの木枠を運び、屋台の列を再現し、井戸役の桶を置き、掲示柱に見立てた丸太の上に紙を貼り、狭い角と広い角、梁の高さの違いを赤チョークで柱に記し、ハルトマンが「状況“酒に赤い顔の男が樽を蹴る”。時間“夕”。場所“井戸”。合図“鈴二”。刃“未使用”。——始め」と短く唱え、俺たちは昨日の動きを短い合図で再演し、ローザリアの低短、リィナの石突一打、エリオの肩の楔、俺の紙の白、が噛み合うまで反復し、声が長くなればすぐに「短く」、鈴が高ければ即座に「低く」、紙が横なら「縦に」と互いに指摘し、三巡目にはほぼ無言で流れが通り、教官が「よし」と一声だけ落とした。

 稽古の区切りに、護衛詰所からの伝令が中庭を横切り、小走りに近づいて封書を差し出し、「“割れた月”、橋裏から一度だけ顔を出し、今夜は沈む見込み。詰所は梁と張り綱を重点巡回」と読み上げ、教官が頷いて受け取り、「学園は夜の市中は禁じる。お前たちは伝える側だ。残した重さは明日に効く、覚えておけ」と再度の釘を刺し、俺たちは「未使用は未練にしない」を三人同時に復唱し、稽古場の空気にその一行を刻み込んだ。

 解散のあと、器具を片付けながら、ローザリアが俺の隣で声を落として言う。「昨日の“恋の忠告”、わたくし、軽んじません。……だからこそ、今日の“短く低く”を身体に入れたい。人を動かす声が、必要以上に縛らないように」。俺は木枠を肩に乗せ、彼女の歩幅に合わせながら「通すために触れる、離させるために触れる。——それでいい」と返し、リィナが桶を抱えたまま「その線を、みんなで見張ろう」と笑い、エリオが「線を越えそうになったら鈴を二度」と冗談めかして言って、三人で肩を小さくぶつけ合い、緊張の糸を一本抜いた。

 午前講義が始まる前、作業室で図譜に朝の成果をまとめ、表題に「高さの図—耳疲(加筆)」「口=狭→短」「足で聞かせる」と書き、合図表には「鈴=低短×二(井戸/船渠)」「木札=低短(祈祷所前)」「屋内=低長(酒場)」を追加し、巻末の三行のすぐ下に、冒険者からの一文も引用して置く——『民具は街の盾。壊すな、借りろ、返せ。借りたら礼を言え』。紙の端に朱の小さな葡萄を描き、グリダ亭への礼の目印にしてから、俺たちは講義の鐘に合わせて席を立ち、廊下の涼しい風で耳を冷やし、黒板の前に並ぶ準備を整えた。

 午前の講義は戦術論の続きで、隊列と合図の相互作用、都市環境下での視界確保が主題になり、俺は黒板の図に自分たちの“高さの図”を重ねて見直し、井戸や船渠の“耳の帯域”を現場の音とどう一致させるかを考え、講義の最後にハルトマンが黒板の端を叩いて「合図は“音の地形”に合わせろ。同じ鈴でも、石と水で響きが違う」と締め、俺はノートの余白に太字で「音の地形」と書き、線の下に「耳疲(朝○/昼△/夕×)」を再度なぞり、今日の骨をさらに固めるために、指先で机の木目を数え、深い呼吸を一つ落とした。

 昼休み、渡り廊下の風は冷たく、王都の屋根の向こうに薄い雲の影がゆっくり流れ、遠くの市場からは軽い喧噪が届き、“街は毎日違う”というサーシャの言葉が少しだけ分かる気がして、パンをかじりながら図譜の角を整え、午後の実技に備えたところで、寮の伝令札が一枚追加で届き、「夕刻、冒険者三名(ミロ・サーシャ・カムロ)来学予定、訓練場にて“通す声/足で聞かせる”の共同稽古を申し出」とあり、俺は札を掲げて三人に見せ、ローザリアは喉元で木札を軽く鳴らし、リィナは「水は締めずに離させる」を指でなぞり、エリオは鈴の紐をほどいて新しい結び目に取り替え、「図は昨日の街、今日の街は今日の鼻と耳で」と笑い、午後の鐘が鳴るのを待った。

 午後の訓練場では、冒険者たちが俺たちの円の外に立ち、ミロは盾を地面に立てて「足で語れ」と一言、サーシャは弓を肩から外して「耳で受け取れ」と笑い、カムロは短剣を抜かずに鞘の先で石を“二度”叩き、その低い音で場を止め、「では、街を通そう」と合図し、俺たちは昨日と今朝の全てを重ねて、最初の一歩を地面に置いた——この続きが、今日の“忠告”の仕上げになる。


 訓練場の砂は昼の熱をまだ少し抱いていて、四方に立てた丸太と天幕と張り綱で作った“街”は、午前よりも影が濃く、音の帯がはっきり分かれていたから、ミロが盾を斜めに立てて「足で語れ」と一言、サーシャが弓を外して「耳で受け取れ」と笑い、カムロが鞘の先で石を二度、低く叩いて「では、通そう」と合図を置き、俺たちは十歩の帯を胸で一度撫でてから最初の角へ踏み込んだ。

 最初の課題は“広場—露店密集—昼下がり”、ローザリアが先頭で低め短めの「通路を空けて」を置き、俺は紙の白を露店主へ見せ、エリオが屋台脚と脚の間に肩を入れて楔を作り、リィナは水の薄皮を石に沿わせて滑りを調整し、観衆役の上級生が半歩だけ自分の足を剥がして道が一本通り、ミロが「足で聞いたな」と短く頷き、サーシャは「声が高い帯に寄ってる、午后は半音落として」と指で合図を添えた。

 次は“井戸—夕刻—雑音多め”、木桶に水を張って音を立てる役が水面を指で叩き、リィナは鈴を梁に当てない高さで二度、足元で短く鳴らし、ローザリアが低短を被せ、俺は紙を縦に構えて白を細く通し、エリオは樽の車輪の角度を変えて“流れ”の向きを合わせ、カムロが「今の一拍は要らない」と俺の肘を軽く叩き、未使用は未練にしないを胸の中央に置き直すと、井戸役の雑音は声を食わなくなり、白と足が先に届く形に整って、砂の上に一本の線がきれいに残った。

 第三の課題は“橋裏—張り綱—黄昏”、張り綱の角で影が増幅する帯をサーシャが「ここは“目”が高い」と指で示し、ローザリアが木札を喉元からわずかに外して反響を消し、俺は紙ではなく“退路”を先に示すべく身を斜めに入れて角を丸め、エリオが鈴の結び目を握って低く二度、足で帯を作り、リィナは風帯を対角に通して張り綱の揺れを逃がし、ミロが盾を一歩前に出して「民具は盾、借りろ、返せ」と教本の刃のように言葉を落とし、返す動きで盾の縁に砂が細く流れて、線が崩れずに済んだ。

 第四の課題で“祈祷所前—夜半前—面子が絡む”が来たとき、観衆役の一人がわざと声を荒げ、紙の白を押し退ける角度を作ってきたが、ローザリアは喉元で木札を一度、低く鳴らして「面目の退路は向こうです、ここは祈祷所前」と“場所”を先に置き、俺は紙の白を長く見せず短く、エリオは肩で退路の目印を作り、リィナは子役の肩に触れない距離で「大丈夫」を短く通し、面子役の上級生が自分で肩を落として足を退かせ、サーシャが「うん、それが“人を動かす責任”の実地」と微笑んで、ローザリアの横顔に短い安堵が差し、俺はその安堵がほどけすぎないよう十歩の帯を少し広げて歩幅を合わせた。

 最後の課題は“掲示柱—風の渦—黄昏の終わり”、柱の面取りと釘の位置で風が紙を奪いかけたが、俺は縦白を斜めに切り替えて風の通り道に白を沿わせ、エリオが紙の角を二度折って捲れを抑え、リィナが石突一打で足へ帯を作り、ローザリアが短く高く「今は向こうで」を通し、紙が白のまま通路になって、カムロが「図に“風の渦=縦斜”を足しとけ」と笑い、砂に“渦”の印を指で描いて見せた。

 通し稽古が終わるころには西の空は薄紫、塔の灯は二つ増え、外から戻ってきた風が汗の塩を冷やし、ミロは盾の縁を拭いながら「順番を骨にしたな」と短い褒めを置き、サーシャは弦を外して「図は昨日の街、でも今、君らの耳は今日の街を掴んでる」と言い、カムロは鞘の先で砂に三行をなぞってからその線を手の甲で消して「覚えたら、次に書け」といたずらっぽく笑い、俺は笑い返しながら胸の真ん中で三行をもう一度、濃く書き直した。

 片付けに入ると、ローザリアが木札を喉元で一度だけ鳴らしてから俺を見る目に、戦いの後ではなく“通し終えた後”の温度があり、彼女は言葉を選ぶ間を丁寧に取り「今日、あなたが紙を縦斜に切り替えたとき、わたくしの声が迷わずに済みました」と告げ、俺は「君の帯が先だ、俺はただ沿わせた」と返し、視線が一瞬だけ絡んでほどけ、リィナがわざと咳払いをして笑いに変え、エリオが「図に“咳払い=合図(照れ隠し)”を足しとくか?」と茶化し、木箱の蓋で俺の肩を軽く叩いて走り去り、緊張の糸は一本だけ残して他は全部ほどけた。

 夕食後、作業室で図譜の仕上げをし、表題に「市中—高さ図—風の渦(追記)」「祈祷所前=低短/井戸=低短+足/掲示柱=縦斜/橋裏=目高→退路先行」と書き、欄外に“耳疲:朝○/昼△/夕×”を赤で囲み、合図表に「鈴=梁に当てない/足で二度」「木札=帯域選択」と線を引き、巻末の三行の下にミロの言葉を小さく写す——『残した重さは明日に効く』。

 インクを乾かす間、窓を少し開けると王都の夜気は香草と河の湿りを少し混ぜて入り、遠い鈴が低く一度だけ鳴って、寮の灯が順に落ちていく気配がして、俺は机の角で指を二度叩き、前世の踏み込み前の半拍を身体に思い出させ、剣を抜かずに整えた一日が骨に変わっていく感覚を確かめる。

 寝間へ向かう廊下で、ローザリアが並木の影を見ながら「わたくし、明日も“通す声”を恐れません」と静かに言い、リィナは「怒っていい、でも鞘は置かない」を笑顔で繰り返し、エリオは「未使用は未練にしない、だから今夜は寝る」とあくびで締め、俺は三人の言葉を順番通りに胸へ収め「先に場所、先に道、術は最後」と短く返し、それぞれの扉が静かに閉じる音を背中で聞きながら灯を落とした。

 闇に目が慣れる直前、遠くで塔の観測台が一つ明滅し、胸の奥で小さな重みがゆっくりと転がる——それは“強”に届かない、まだ名前のない重さで、俺はそれをそっと鞘のさらに奥へ押し戻し、明日の街を明日の耳で掴むために、意識の底にしまい込む。

 未使用は未練にしない。紙→声→退路→術(最後)。順番は場の骨。——その三行だけを枕にして、静かに目を閉じた。

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