第6話 スポドリ召喚
「バカモノー! 何をしておる!」
国王の声がホールに響いた。
オレに向かって近づいて来た騎士たちは止まった。
「お前たちは、正々堂々と対決した結果に不満なのか!」
「対決した騎士たちの誇りと名誉に泥を塗るつもりかぁー!」
オレはまだ鳴っている音楽のボリュームを落としてから、バトル領域を少し延長した。
そして、近づいて来た騎士たちから少しずつ体力と魔力を吸収してストックし始めた。
豪華な衣装を着てホールにいるお偉いさんたちは、お貴族様ってやつかな。
ざっと眺めると、かなり年配の人がいるから、吸収は止めておくか。
バトルモード領域を少し広げたら、ストックしている魔力が減ってきたが、同時に騎士たちから吸収しているから急激な減り方では無い。
つまりは、充電しないでスマホを使っていればバッテリーが減っていくが、充電しながら使えばバッテリーは減らないのと同じだ。
エアロビマスターのメニュー画面で赤い星がピカピカ点滅している。
頭の中でポチッとすると『バトルモード勝者特典があります』とメッセージが表示された。
詳細を見ると、バトルモードで1人倒すと10ポイント、3人倒したので30ポイントをゲットした。
『スポドリ召喚しますか?』とメッセージが表示されたので、これも頭の中でポチッとすると、5ポイントで好きなスポドリが召喚できる。
召喚できるスポドリのリストには、黒字で『ポ◎リ・ア◎エリアス・六甲のとっても美味しいお水・ダイエッ◎コーク』が表示されている。
その他にもプロテイン飲料とかヨーグルト飲料とかがあるが、表示が灰色だからまだ召喚できないのかな?
オレは倒れ込んでいる騎士たちを見た。
レイノルスはまだ気絶しているが、デモンスとクルニーは
頑張ってオレに挑戦したんだ、スポドリをおごるくらいはいいだろう。
ポカ◎を召喚してデモンスに近づいた。
ひざまずいてデモンスの身体を起こして言った。
「いい対決だった。これを飲んでくれ」
デモンスは初めて見るスポドリのペットボトルに疑わしそうな顔をしたが「毒見をするから、それから飲んでくれ」と言ってキャップを開けて、デモンスに見せながらオレの手のひらに少し出して舐めた。
オレ自身の汗も足されて、いい塩気と甘みが美味いね。
「毒なんか入っていないから少し飲んでくれ。気に入ったなら全部飲んでもいいんだ」
何か言いたそうなデモンスの口元に◎カリを近づけて、一口飲ませてみた。
んっ? という顔をしたが、もう一口飲ませると「美味いな、すまんがもう少し飲ませてくれ」と言った。
「いいよ。これは全部デモンスのものだ」
オレはデモンスに少しずつポ◎リを飲ませていった。
半分くらい飲んだところで、デモンスは自分で身体を起こして言った。
「これは不思議な飲み物だな。なんだか疲れが取れてきたし、体力と魔力も回復してきた」
「それは良かった。ここに置いておくから飲んでくれ」と言って、クルニーに近づいた。
上半身を起こして荒い息を吐いているクルニーのそばにひざまずいて、ポカ◎を召喚して言った。
「アナタは立派に最後まで戦ってくれた。ありがとう。オレはアナタを尊敬するよ」
クルニーはちょっとイラッとして言った。
「
「そう言いたい気持ちはわかるが、初めてのエアロビクスをその重い金属鎧でやったことは、とても凄いことなんだ。オレはそれを認めるよ」
◎カリのキャップを開けて、クルニーに差し出した。
「これを飲んでくれ。デモンスにも飲ませたが、疲れが取れて体力と魔力が回復する」
「それは……? ポーションか?」
「そのようなものだな。毒見しようか?」
クルニーはため息をついて言った。
「いやいい。毒なぞ使わなくても、今のワシはたやすく殺せるだろうからな」
クルニーはポカ◎を受け取ると、一口ずつ確かめながら飲んだ。
「うむ、たしかに疲れが取れる。体力と魔力も回復するな。これは異世界の飲み物なのだろう。味わったことのない美味さだな」
「気に入ってもらえたなら良かった」
オレは立ち上がって、ダイエット◎ークを召喚してキャップを開けた。
プシュッ! といういい音がした。
炭酸飲料もスポドリに含まれるんだっけ? まぁ今一番飲みたいやつだからいいか。
よく冷えているダイエットコー◎をグビグビ飲んでいると、召喚された女の子が「ヤダー、サヤチィも飲む〜!」と言って、小走りで近づいて来た。
おいおい、不用意にバトルモード領域に入るのはダメだよ。
敵意があるヤツは即座に体力と魔力を吸収しちゃうし、ソイツが持っているスキルを読み取れてしまう。
近づいて来た女の子はソガ・サヤカ、ニックネームはサヤチィ。ユニークスキルは神聖魔法、スリーサイズは……。おおお〜! なんだぁ着痩せするタイプなのか、なかなかご立派なお胸様とお尻様をお持ちだな。
オレがニヤニヤ笑いながらサヤチィを見ていると「オジサン! どこ見てるのよ!」とサヤチィが怒った声を出した。
「そんなこと言ったって、キミが近づいて来たんだろ」
「だってぇ〜、サヤチィも炭酸飲みたいんだもん。◎カリでもいいよ」
う〜ん、まだポイントはあるから出してもいいけどさ。
この先何があるかわからないから、ここで使い切るのはイヤだな。
他の女の子も近づいて来た。
ハセガワ・リサちゃんとナルサワ・マイカちゃんか。
2人はまだ中学生なのに、服の上からハッキリわかるくらいのご立派なお胸様とお尻様の持ち主だ。
「ねぇ、オジサン。ダメなの?」とリサちゃんが訊いた。
マイカちゃんも飲みたそうだ。
「う〜ん、ダメじゃないんだけど、あと1本しか出せないんだ」
「みんなで分けて飲むから、出して!」
マイカちゃんがぐいっと近づいてきた。
う〜ん、ダイナマイトボディ!
オレがマイカちゃんのお胸様をジッと見たので、サヤチィが言った。
「なによぉ! サヤチィよりもマイカたんの胸が見たいのぉ〜」
「いや、そういうわけでは……、3人ともそれぞれ魅力的だから、圧倒されたんだよ」
「ふ〜ん、まぁそういうことにしておく。はい、ダイエット◎ーク出して」
「キミたちもそれでいいの?」
ふたりは
リサちゃんは控えめな性格なのかな? 黙って微笑んでいる。
そのエクボに飛び込んでもいいですか?
『エクボは恋の落とし穴』って本当だなぁ〜。
サヤチィがグイグイ手を出してくるから、ダイエット◎ークを召喚して渡した。
キャー! 冷たぁーい! ってキャッキャしながらまわし飲みしている。
アレ? あのウイルス性の伝染病は大丈夫なのか?
う〜ん、神聖魔法を使えるから、大丈夫なのかな?
「ねぇ、オジサン。今度はいつ出せるの? たくさん出せないの?」
可愛い女の子がたくさん出せとか……、ちょっとヤバい発言じゃないか。
んー、なんて答えようかな。
あっそうだ。神級錬金術師のマイカたんなら創れるんじゃないか?
「えーっと、ナルサワさんは神級錬金術師のスキルがあるんだよね? 自分で創れるんじゃないかな?」
マイカたんは、んっ? という顔をした。
アレ? 近くで見るとマイカたんは広瀬姉妹のお姉さんに激似だな。
上品な雰囲気の美人さんだ。
「錬金術師なら鑑定スキルもあるんじゃない?」
オレはバトルモード領域に入ったマイカたんのスキルがわかるので間違いない。
「あー、あるある。鑑定できる! あれ? オジサンも鑑定できるんだ。それに生活魔法も使える、やっぱりズルい〜」
えっ? 生活魔法?
エアロビマスターのメニュー画面を下にスクロールしていくと、たしかに生活魔法がある。
他には土魔法や水魔法に風魔法か。全部初級だが使えることは嬉しいね。
さっそく、生活魔法のクリーンを自分にかけてみた。
頭の中で『身体全体がサッパリするように』とイメージして「クリーン」と言ってみたら、フウッと身体が魔力で包まれて、汗まみれだったのが、サッパリ爽やかになった。
魔法がイメージどおりに使える世界って楽しいね。
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