数字を稼ぐための創作論

インスタント脳味噌汁

web小説とは

前置き全略。作者は小説と料理が似ていると考えている。客(読者)のお金(時間)を得る代わりに料理(小説)を提供する。もし良いものを提供出来ればチップ(評価、感想)を得られる。


小説としての技術は料理の腕と考えて欲しい。そこを磨き続けるよりも数字(売上)が欲しいなら『何を作るか』の方が重要な話というのが今回の話であり、料理の腕を磨くのは決して悪いことじゃないしプロに近づくなら何よりも必要なことだとすら思う。


今回はその料理の腕を磨くという行為をひたすらサボって顧客の求める料理というのを模索し続けたアマチュア作者の考える創作論っぽい何かである。


さて。小説が料理ならネット小説、そこで一大ジャンルである異世界系の小説はラーメンである、と考えている。手軽に食べられて当たり外れの差が激しい。そうするとネット小説投稿サイトは人気ラーメン店の店長から素人までが幅広くラーメンを作るラーメンフェスのようなものだろう。実際にはラーメン以外も参加できるが顧客は大体ラーメン好きだ。


ネット小説投稿サイトの最大手である小説家になろうは一時期二郎系(なろう系)と呼ばれるラーメンが流行ったが、インスタ映えを狙う女性客の大量流入により、小洒落たラーメン屋や喫茶店が並ぶようになってしまった。もちろん今でもなろう系は通用するだろうが、少々インスタ映え(女性向け・恋愛要素)を意識しないと難しい。


なろう系小説は二郎系ラーメンと同じく中毒性があり、それを渇望するジロリアンならぬナロリアン達(なろう系読者達)はカクヨムに集まっている印象を受ける。よって総合ランキングはなろう系の小説で埋まり、そこを駆け上がりたいなら普通の二郎系ラーメンよりも尖ったラーメンを出さなければ売れるのは難しい話となる。


ここで改めて考えてみて欲しい。カクヨムはナロリアン達が集った(ほぼ)ラーメンフェスの会場だ。周囲は二郎系つけ麺や激辛二郎系ラーメン、チャーシュー山盛りラーメンなどで勝負をしている。


そこでそばやうどんで勝負が出来るだろうか。また、客の立場になって考えて欲しい。ラーメンフェスに来て、わざわざそばやうどんを食べたいか。何なら麺類じゃなく他ジャンルもあるけど食べたいか?


作者個人の話にはなるが、視界に入ったとしても意識すらしないだろう。もちろん、ラーメンフェスでそばやうどんを食べる人がいるかもしれないとは言っておく。少数ながらそれを目的として来ている客はいるだろう。ラーメン限定の会場では決してないのだから。


ラーメンフェスでもそばやうどんが置いてある場合があり、そういうのを食べたい客は少なからずいる。完全否定はしない。ただやはり「超有名ラーメン屋」や「大会で優勝経験のあるラーメン屋」が作るラーメンの誘惑に勝てるそばやうどんは少ないだろう。


何より二郎系ラーメン(なろう系小説)は安い。複雑な設定や過多な登場人物は読者の負担(読み込むまでに時間がかかる=高額な価格)となる。ベースの味がコッテリ豚骨(ナーロッパ)で統一されているのもそうするのが安価(読者が読み込まなくてもわかりやすい読みやすい)だからだ。


また、この手のフェスで分かりやすく人気となるのが肉(チート)の有無だ。肉は多ければ多いほど良い。そういうナロリアンは多いと感じる。肉ばかり(チート無双ばかり)になると食えねえよこれ、とはならない。むしろそれを好む奴もいるし野菜(努力、苦戦等)は最低限で良い、むしろいらないという奴も多い。


……ここまで読んでなお別ジャンルで戦いたい、二郎系ラーメン以外を作りたいという作者は素直に料理コンテスト(公募)に参加するのが良いと考えるが、ネット小説として伸ばしたい場合はどこまでその料理を二郎系に迎合させるかがポイントとなる。


要するになろう系の要素をどこまで自ジャンルにぶち込めるかという話になるが、手っ取り早いのはミート(チート)をぶち込むことだ。


例え曲がり角で少年少女がぶつかる話でも『曲がり角でぶつかった少女に回復魔法を使ったら不治の病と盲目なのを治してしまってめちゃくちゃ懐かれてた』というタイトルにして主人公に『不治の病すら治す回復魔法』というチートをぶち込めばナロリアン達にとって凄く惹かれる話となる。あ、このタイトルには過程と報酬という別要素も入ってるけどそこには今回触れません。次回があるかは知らん。


とにかく肉を盛れば「お、食べてみよう」となるナロリアン達はいる。ラーメンフェスの会場だろうがとり天、トンカツ、牛串が乗っているトリプル肉丼とか食べてみたくなるしな。あとはどれだけなろう系と迎合するのを許容できるかという話になるので、数字を稼ぎたいのであれば肉を入れよう。


最後に。料理の腕、小説の技術を磨き続ければ肉無しや肉が少量でも編集者の目に留まる可能性はある。正当な料理を作り続け、そういうルートを辿ってプロになった人もいるから決して肉を大量に入れるのが正解とは言わない。あくまでもweb上で数字を稼ぐ手段であり、プロになる手段ではないからだ。まあ数字稼ぐ才能が天元突破してて料理の腕が未熟なままプロになってる作者も多数いるので結局のところは『何を作るか』がweb小説で数字を稼ぐのに重要だと考える。




次回があるなら過程と報酬について語るか『何を作るか』において重要な『需要』かなろう系小説の推移について駄弁ります。

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