体感する、創作の闇と光。

このエッセイ、とにかく熱い!

作者の心の揺らぎと復活が生々しく綴られていて、読んでいる側の胸まで直撃してきました。

考えたことありますか?
「キャラに切り裂かれ、キャラに救われる」

――自分は一度もありません。
そこまで、キャラクターと対話をしていないからです。

このエッセイは、作者が体験した、作品を書く時の痛みと救済を、赤裸々に、しかもドラマチックに描き切った作品です。



まず感動したのは、キャラクターを“ただの登場人物”ではなく、自分自身を映す「もう一人の自分」として描いている点です。

胸をえぐる、登場人物のその刃を言葉で綴ると、文字にしながらに、作者にそのまま切先を向けてきます。
それほどに登場人物たちの言葉がリアルであり、刺さる言葉で表現されているということです。

また、作中でヒロインのKさんが光を差し込む展開は、単なる小説の一場面を超えて、まるで作者自身の心を救済しているようです。
いえ、これも、作者だけでなく、執筆活動を続ける方たちの心を救済しているのだと確信します。


さらに、このエッセイの素晴らしい点は、単なる自分語りに終わらず、読者=書き手仲間に向けた力強いエールとなっているところです。

「流行りやテンプレがなんだ!」「魂を込めて書いたものは必ず残る!」という叫びは、心を揺さぶりました。
もし、星やハートなどの数字に負けて「好きなものを書く」ことを手放しかけたのなら、諦めないで欲しいと作者と登場人物の両方からメッセージが放たれています!


1番驚いたのは、次の言葉。

「キャラとあなた自身、いっぱいお話してますか?」

自分はしたことありません。ですがこの作者は、傷つけられる程、キャラクターと対話をしていたということなのです。
自分の作中の登場人物に影響を受ける・・・。それが、どれだけ凄いことか。このエッセイを通して知ることができました!

このエッセイ自体が、キャラと作者が共鳴しながら生み出した「もう一つの物語」です。


みなさま、どうか、一度この熱にほだされてみてください!
諦めかけてもまた、自分の夢を追いかけようと希望が持てるかもしれません!

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