第2話「デュオの輝き」
2年後。姉妹は「AnoKono-You-」としてデビューした。
オーディションで、あのよの自動書記による歌詞「INVISIBLE」が審査員を震撼させた。
メロディはこのよの作曲――姉の不気味な歌詞を、ポップでキャッチーなアイドルソングに変える天才的な才能。
「視えるアイドルデュオ」の異名は、すぐに広まった。
あのよの歌詞には、誰も知らない心霊のエピソードが散りばめられていた。
幽霊屋敷の惨劇、消えた少女の叫び……ファンは「本物の霊感ソング」と熱狂。
SNSでは、#AnoKonoGhostがトレンド入りし、ライブチケットは即完売。
バックステージで、このよが興奮気味に姉に囁く。
「お姉ちゃん、今日の歌詞もすごかった! あの、戦場で死んだ兵士の話? どうやって思いつくの?」
あのよは苦笑した。
実際は、昨夜の夢に現れた兵士の霊が、自動書記を強要したのだ。
ゴーストライターの亡霊たちは、契約の証として、姉妹の成功を支えていた。
だが、噂は広がり始めた。「あのよちゃんたちは、悪魔と契約してるんじゃないか? 歌詞が本物の心霊体験すぎる。27クラブみたいに、17で死ぬ運命だよ」
ネットの都市伝説スレッドで、そんな書き込みが炎上。姉妹のマネージャーさえ、半信半疑で相談してきた。
「本当の話? いや、でもこれは面白いから、プロモーションに使おうか?」
あのよは黙って頷いた。
契約の真実を、誰にも明かせない。
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