癒しの魔女と奇跡の詩〜ARIA

@Minoru0927

第1話──石碑に刻まれし掟


古の時代より、魔女たちは人里離れた静かな里に暮らしていた。

彼女たちは人のために力を使うことを禁じられ、己の内に宿る魔力を、ただ自然と共に生きるためだけに用いてきた。


里の中心には、苔むした大きな石碑が立っていた。

そこに刻まれた古文は、幼き魔女たちが必ず読み習うべき教えであり、掟であった。


「魔女は争いに関わること叶わず。

力を己が欲に用いること許されず。

いかなる願いとて、命を贄とする最後の魔法を軽んじてはならぬ。

これを破るは、同胞を裏切りし者。

永劫に“卑しき魔女”と呼ばれん。」


その石碑の言葉は、誰もが心に刻む戒めであった。

魔女たちは心優しき存在でありながら、力の大きさゆえに、決して争いに関わることを許されなかった。


だが──その里も、やがて「魔女狩り」の炎に呑まれた。

悲鳴と炎に覆われた夜、古き石碑だけが奇跡のように残り、後の世に掟を伝えることとなる。


そして物語は、一人の少女へと繋がっていく。

後に「癒しの魔女」と呼ばれる、アリアという名の若き魔女へと。

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