024 絵馬に書かれた、知らない子供の願い
※今回は今年最初の投稿なので、
オチのない、少しだけ真面目な話になります。
◇
毎年の恒例行事として、
今年もカミさんと一緒に明治神宮へ初詣に行ってきた。
2025年は、振り返ると
世界でも、身近なところでも、
暗いニュースや、気が滅入る出来事が多かった気がする。
地震、争い、事故、
そして、どうにもならない理不尽さ。
そんな一年を胸のどこかに残したまま、
今年も多くの人の列に並び、静かに手を合わせてきた。
◇
参拝を終え、
カミさんがトイレに行くというので、
俺は一人、境内で待つことにした。
何気なく視線を向けると、
そこには、毎年見慣れているはずの祈願絵馬がずらりと並んでいた。
いつもなら、
「すごい数だな」と思って、そのまま通り過ぎてしまう。
でも今年は、なぜか足が止まった。
ひとつ、またひとつと、
ゆっくりと書かれている願いを、静かに読んでみる。
健康のこと。
家族のこと。
受験や就職。
どれも、どこにでもある、切実な願いだ。
その中に、
明らかに子供の字で書かれた絵馬があった。
「サッカーがうまくなりますように」
「おとうさんの仕事がきまりますように」
どれも、短い言葉だけど、
その向こうにある生活や不安が、少しだけ見える気がした。
◇
そして、一枚の絵馬に、目が止まった。
少し歪んだ、
一生懸命書いたであろう子供の文字で、
こう書かれていた。
「世界も、みんなの家族も
幸せになりますように!」
……しばらく、動けなかった。
自分のことでもなく、
欲しいもののお願いでもなく、
こんな大きな願いを、
この子は、どんな気持ちで書いたんだろう。
大きな地震で被災した人たち。
苦しい生活を送っている家族。
それでも、自分の立場を守ることに、
必死なこの国の政治家たち……。
理不尽なことが多いこの世界で、
こんな願いを持てる子供がいるという事実に、
胸の奥が、少しだけ締めつけられた。
◇
そうだね。
――そうだよね。
君が願うように、
世界も、みんなの家族も、
少しずつでも幸せになってほしい。
木枯らしが吹く境内は、
相変わらず冷たかったけれど、
心のどこかが、じんわりと温かくなった気がした。
2026年が、
誰かの願いを踏みにじる年ではなく、
小さな願いが、少しでも叶う年でありますように。
そして、
これを読んでくれた皆さんにとっても、
笑顔が溢れている、
明るく、穏やかな一年になりますように。
【了】
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