Case4 迫りよる真相
第7話 幽霊の正体見たり
「これからあなた方の話すことは全て証拠として使われます。もちろん、黙秘権はありません。弁護士も来ません」
現在時刻21:13。芹澤ミヤコはソファに深く腰掛けて、そう切り出した。一度言ってみたかったセリフがマフィアみたいにアレンジされてしまった。
いつも午後10時には就寝準備に取り掛かるミヤコにこの時間帯はキツイ。先ほどまで尋常じゃない程緊張していたのもあって一気に疲れが来た。もう目が半分閉じてる。ミヤコは飲み残していたブラックコーヒーをちびちびと飲んで、どうにか睡魔を抑え込んでいた。
目の間には
「横暴です!そんなことが許されるはずがないっ!」
「この軍帽、コーヒーが飲みたいようですよ。あげてもいいですか?」そう言うと、ミヤコは頬杖を突きながら、持っていたマグカップを軍帽の上でゆっくりと傾け始めた。こぼれるかこぼれないか、ギリギリを攻めるような動きだった。
「な……やめたまえっ!鬼か君はっ!それは僕たちの魂なんだぞ!」
「なら白衣にしましょうか。汚れていた方が
「ちょちょちょちょっ!
「三角帽子は?コーヒー味にしたくない?」
「イヤです!本当にやめてくださいっ!お願いします!」
「じゃあ、なんでこんなことをしたのか話してください。話さないなら、30秒ごとに
ミヤコはスマートフォンを操作し、“00:30”と表示された画面を見せて机に置き、”開始”を押した。猛スピードで数字が減っていく。
ミヤコは三人の様子を
「わ、分かった!話す!だから返してくれ!
ミヤコは停止を押した。00:06。かなり
「なんて!冗談ですよ。いやだなぁ。そんなことするわけないじゃないですかぁ」
「き、君なぁ……!」
スマートフォンが震える。
リカからのメッセージだ。
◇◇◇
『ミス研グループチャット(2)』
【リカ】ミヤコ先輩。そろそろ返してあげましょう。かわいそうです(21:16)
【ミヤコ】リカは優しいなぁ。了解(既読)
◇◇◇
ミヤコはチラリとリカ入りのロッカーを見る。久しぶりの展開に思わず笑みがこぼれた。もう対人エネルギーは完全に切れたらしい。かなり頑張ってくれたから、ゆっくりしていてもらおう。
ミヤコはパンっと
「はい!では返してあげます!どうぞ!」
ミヤコはマグカップを口元に寄せて小さく傾けた。
クーラーの風に当てられて風鈴が「チリン」と揺れた。
つづく
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