回転


「まあ、あるあるだけど……あーなるほど、好きな人いるって最初から知ってたから悩んだんだ?」

「……」

「図星かい」

「口にするまで、自分の感情は置いといて、客観的に「これってどういう関係?」って思い始めたんです。」

「はいはい」

「でも航輝さんの言う通りですね。何も思ってなかったら友達ですもんね」

照れたように白ぶどうジュースを啜るまきしょー。


ああ……何か光っている。

まきしょーに後光が差してる気がする。

打ちのめされてしまった。

なんだこの輝かしい青年は。

まるで大学生のような恋愛をしてる。

YUIのCHERRYずっと流してくれ。

羨ましい、眩しい、いいな、最高じゃん。


「俺とも遊んでね……」

「何言ってるんですか急に?遊びますし、こんなこと相談できるの航輝さんだけです」

「そう言ってくれて嬉しいよ」

「相談に戻っていいですか」

「ちょっとトイレ行ってきていい?」

「わかりました、行ってらっしゃい」



スマホを持ってトイレに行った。

仕事先から連絡が来ていた。

本当に俺には仕事かまきしょーしか連絡が来ない。

俺もまきしょーのような青春がしたい。



用を済ませてトイレから戻り席に着いた。


「ごめん、相談戻ろう」

「はい、それで……えっと、これからその女の子との関係なんですけど」

「うんうん」

「今日、航輝さんと話して自分の気持ちがはっきりしたので、」

「お!したので?」

「告白してしまおうかと思って」

「えーー!いいじゃん!まじか、かっこいい!」

「このまま進む背中を押して貰いたいです。」

「いいけど、好きな女の子はフリーってこと?彼氏持ちならちょっと考えさせて」

「彼氏はいません、好きな人がいるだけで」

「んーーー。じゃあいいのか、俺は不倫とか許しませんよ」

「結婚もしてません、彼氏もいません。片思いをしている女の子に僕が片思いをしているだけです」

「押さない理由はなくなった。桃色片思いだな。まきしょーの魅力で頑張れ!」


まきしょーは照れながらありがとうございますと言った。

こんな甘酸っぱいこと、この年齢であるのか。

俺はこんなまきしょーが好きだし、まきしょーの恋愛が真っ直ぐ実ってくれることを祈った。


「振られたら慰めてくださいね」

「そうだった。相手に好きな人いるんだよね」

「……奪ってもいいんでしょうか」

「そりゃあ…彼氏じゃないならいいでしょ。かっこいいよ。心、奪っちゃえよ!」

「頑張ってみます。まずは普通に話せるかなぁ」

「きゃー!おいおい、もう俺が恋に落ちそうだよ」

「外側から見守ってください」

「2人の壁や天井になるわ」

「結構内側なんでもう玄関入らないくらいでお願いします」

「遠くね!?」

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