皆既月食が気になって眠れない、小学四年生の駆。出産を間近に控えて入院中の母親のことも気になっていた。そんな中、駆は不思議な体験をする。赤い光に照らされたアキアカネの、とても幻想的な映像が心に浮かぶ、素敵な物語。短くてすぐ読めますが、きっと心に残りますよ。
今か今かと自分が守るべき下の子のことを思う気持ちが伝わってきます。アキアカネとのちょっとだけフライングした出会いがあったから、更に大切にしたくなりますね。これからの楽しい日々があることが、想像できて素敵です。
月食の夜に繰り広げられた幻想的な出来事と、現実に妹の誕生が重なる構成がすごく美しいと思いました。赤い月から舞い出すアキアカネが「命の訪れ」の象徴となり、少年の想いと繋がる場面はものすごく素敵です。構成も素敵。子どもの純粋な視点だからこそ信じられる奇跡。すごく優しい気持ちになれる物語です。
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