RAIMEI
みぃ
霧の街
黒い雲が空を覆い
世界は一瞬で夜になった
光がすべてを切り裂き
轟音とともに時間が止まる
地響きのような唸りが遠ざかり
残されたのは雨音だけ
水滴が葉を叩く音
地面に広がる水たまりの輪
嵐が去ったあとの
澄んだ空気の匂い
呼吸をするたび
土と草の香りが満ちる
世界は静けさの中にあり
すべてが洗い流されてゆくよう
遠くで鳥の声が聞こえる
それは、新しい歌の始まり
霧雨けぶる
古びた石畳を濡らし
遠い日の面影が
ゆっくりと滲んでいく
軒下の風鈴は
乾いた音を立てられずに
ただ静かに
時の流れに耳を澄ませる
あの日
君と歩いた並木道も
今は淡い墨絵のように
私の心に静かに佇んでいる
霧の街
ふわりゆれる
瑞々しい 木々さえ
霞のむこう
すこし冷たげな
ミストを浴びる
朝をもつつむ
すっぽりと隠すように
いつもよりも
静寂
RAIMEI みぃ @miwa-masa
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