アフタートーク
『ありがとうございました〜お二人ともお幸せに〜♪』
なぜかママに見送られながら、俺と影山は店を後にした。
「そうかぁ…ただのバーかなと思ってたけど…」
影山がボソっと呟く…
『見損なった⁇一応おぼっちゃまだらけの男子校の出身が、あぁ言う店で働いてて…』
「別に…お前が自分らしくいれる場所を見つけて選んだんならいいんじゃない⁇俺もあの学校で生徒の間では変人扱いだったんだろ⁇あんまし成績に関係なさそうな話は聞こうともしてくれないし…」
『まぁ生真面目な奴ばっかだったから、髭あるとそう思っちゃうんじゃない⁇あとは成績が全てだからね…雑学はちょっと…』
「田中は?髭変だと思う⁇俺の雑学は好きでしょ?熱心に聞いてたよね。めっちゃ目を輝かせて…」
(そこまで俺をちゃんと見てたんだ…)
『髭はぶっちゃけ憧れてたっすね。カッケェって…』
「良かった。あんな仲良くしてくれた生徒お前だけだったし、お前もよく喋ってくれるし…」
『おしゃべり大好きっすから。だけど聞いてくれる奴が1人しかいなくてクラスに…』
「そのトークスキルを活かせるからあそこで働いてるわけか。あとテンションがやばいところ‼︎」
『いやいやあの動画の時は酔ってたんで〜』
「体操着着てたよな小学生みたいな…」
『コスプレイベントだったんで…』
10年以上経ってるとは思えなかった。まるでついこの間まであの生物室で笑い合ってたと思うような時の流れを感じないやり取りだ。
関わってた時間もたった2年なのに、すごい濃厚に思える。
俺たちの関係って、なんなの⁇
聞きたいけど、言い出せない。
無駄に空気だけは読んでしまう…
「て言うかさ、田中はどうやってあそこに通ってるの⁇」
『徒歩です。先生は⁇』
「俺は…とっくに終電逃してんだけど、どうしよ⁇田中の家行っていい⁇一人暮らし⁇」
『え⁉︎そうなら早く言ってくださいよ。終電間に合うように帰ればいいのに〜』
「お前と話してたら楽しくなっちゃってつい…行っちゃダメなのか⁇」
『…いい…ですけど…一人暮らしだしぃ⤴︎』
(憧れの先生が俺の家に⁉︎)
脳内でテンパってるが表側は冷静を保つ俺。
「サンキューな〜俺も流石に久々に飲みすぎて寝たくてさもうさ…ふぁ〜…」
あくびする先生、普通に友達のように喋る先生、とってもカジュアルな格好の先生、全部見た事ない彼が目の前にいる…
なんかだんだん混乱して来た…
でも中身は確かにあの影山先生なんだ…
いまだに再会を信じられないでいる自分も居た。気付いたら…
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