第35話 アリスと戦の結末

 聖者たちが中央の教会へと帰還してきた。

 この場にいないのはソムニウムとサナティオだ。彼女たちは一分一秒を争う治癒で大忙しだ。

 

「さて、今の状況を整理しよう」


 ルークがそう言って、話は始まった。


「まずは、こちらの被害だ」

「それについては僕から説明するのだよ」


 声を上げたのはエクセルキトゥスだ。

 その声はいつものような元気さはなく、落ち込んでいるようだった。


「皆様方もお気づきの通り、グラキエスが戦死したんだよ。彼女は勇敢にも立ち向かい負けたのだよ」


 名誉ある死。そう言うと聞こえはいいが、ただ負けて死んでいった。敵に立ち向かう勇気という名誉。

 きれいごとだと思うだろうが、大切なことである。が、死んでは元も子もない。

 力の差を見極めれなかった故の死。

 酷い言いようだが、事実である。でも、彼女は力の差など分かっていた。彼女は、己の正義のために戦った。

 彼女は正義の天使、ザドキエルの契約者であった。

 契約するには天使に気いられる必要もある。ザドキエルは、彼女のそんな正義を気に入り契約した。

 この死は、彼女の正義を象徴するものであった。


 ここにいるものは皆、グラキエスの死に嘆いた。いや、彼女の死だけにではない。

 この国の状況を見よ、街は破壊され、人も死んだ。

 思い出も、暮らしも、仕事も、力も、色々なものを失くしてしまった。


「この国の死者は、54名。そのうち、聖騎士49名。」


 この数字は国を責められたにしては少ないだろう。だが、少ないと言えども死んだ者がいることに変わりはない。そのことを、忘れてはだめだ。


「そして、奴らの目的であるとされる二つの内、ソロモンの指輪はこちらの手の中にあるのだよ。でも、ウロボロス教団幹部【正義】は、地下牢獄から脱獄していたんだよ」


 みんな予測していたのか意外と驚きはしなかった。


「そう言えば、奴から何か情報は聞き出せたのか?」


 ルークはモアーズの方を向いて言う。


「俺、拷問が仕事じゃあ無いんすっけどねぇ。まぁ、一応任せられたのでやりましたよ。結論を言えば、まぁまぁの情報は聞けましたよ」

「じゃあ、その情報について教えてくれ」

「聞けたのは大きく分けて3つ。一つ、実質実権を握っているのは【世界】である。二つ、神を宿すものを探している。三つ、倭国への進軍計画」

「倭国に!!」


 神威は声を荒げて立ち上がった。

 神威は倭国出身の侍である。故に、祖国が危険にさらされると知って驚いた。


「そうっす。確か今からちょうど一カ月後から」

「アリス、次は確か華楽に行く気でござったな?ならばその後、倭国へと行きたい」

「うん、いいよ。私もウロボロス教団については気になるし」


 パンッと手を叩く音が部屋の中に響いた。


「その辺の話はあとにして、本題について話を進めるのだよ」


 そう言ったのはエクセルキトゥスだった。確かに、エクセルキトゥスの話の途中で脱線してしまっていた。


「まぁそうはいっても、後は二項目ぐらいしか残ってないだけれどもね」


 敵、クレイジークラウン。

 彼等の多くは死んでいない。一人ひとりが、白銀級以上の実力を持っていた。

 特に、ジャック・クラウンとジェスター・クラウン。

 ジャックは全てを切り裂く能力、霊的能力。それらによって伝説級の実力と判定された。

 ジェスターは付与魔術にスラッシャー・マロールム、愚者のカード。世界の創造も可能なため英雄級と認定された。


「敵の中で死亡が確認されているのが、ファウストのみなのだが...死体は発見されなかった」

「「えぇ!!」」


 アリスとルークは驚いた。実際にこの目でその死体を確認したんだ。いないということは、誰かが持ち去ったことになる。


「彼らは仲間同士の結束も強いというから...ちゃんと弔いをしたいんだろう」


 そう言ったのは今まで一度も言葉を発してなかったスキエンティアだ。


「そうなんだろうね。で、ここからがこの先の話。この街はこれから街の復旧を主とするんだよ。そこで、住民のほとんどを土木に従事させる。君たちだって例外じゃあないよ、サナティオとソムニウム、フラマ以外は土木に従事するんだよ」

「え、俺らも?」


 ルークはぽかんと口を開けてそう言った。


「当たり前だよ。僕とルクスとモアーズは土木とかにもいい能力を持っているからね」


 エクセルキトゥスは天使の大群を従えて労働力を増やす。ルクスは契約によって資材や道具が出せる。というか、建物も出そうと思えばできる(魔力消費が馬鹿にならないから三日に一軒立てれる程度)。モアーズは触れた者を灰にできるため、がれきの撤去がスムーズに進む。


「それは分かるが、俺らは何故?」

「サナティオとソムニウムは医療班として動き、フラマは総合指揮官というか事務というかをしてもらうからなのだよ」

「ねぇ、待って!!それって私結構な過重労働じゃ...」

「確かに...なら、スキエンティアをつけるのだよ」

「肉体労働か過重業務労働か...はは、どっちも地獄だ」


 ルークはあきらめ切った顔をして、フラマとスキエンティアは絶望というか疲れというか暗い表情をしていた。


「じゃあ、これにて閉幕なのだよ。皆、仕事場に行こうか」


 そう言うと、一部の者を除いて部屋の外へと出ていった。



――あとがき――


あまり投稿できずにすいません。

以前、ノートで言った通りテスト期間がやってきたため、あまり投稿ができません。

隙間時間にちょくちょく書きますが、一週間に一話投稿できるかできないかって感じです。

ノートでは日曜にまとめて投稿と言いましたが、書けたら投稿しようと思います。

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