第27話 ルクスと契約の悪魔

「〈契約・ソロモンの指輪〉さぁ、俺と契約して踊れ悪魔共!!」


 ルクスは、ソロモンの指輪を右手の人差し指へとつけた。

 ソロモンの指輪には、闇が集まってくる。禍々しく、この世とは思えない闇が。この一瞬つけているだけで狂いそうな闇が。

 その闇は、確実に己の力なのだとルクスは感じる。

 そして、頭によぎった名を告げる。その名が何かわからぬまま。

 

「力を貸せアイム」


 指輪から、あらゆるものを燃やし尽くすような禍々しい火の魔力が放たれる。いや、漏れ出すと言った方が正しいだろう。

 

「〈火塵魔剣かじんまけん〉」


 指輪から溢れ出した禍々しい日の魔力は、手の中で集まっていき剣の形を作る。

 ルクスは、それを手に外へと飛び出る。


「本気を出しますよ〈joker〉」


 ジョーカーの雰囲気ががらりと変わり、いろいろな人間がいるようだった。

 だが、ルクスはそんなことも構わずに〈火塵魔剣〉を振り下ろす。

 振り下ろした先は、燃え切って全て灰と化していた。だが、ジョーカーは何故か灰と化していなかった。

 灰と化していないでは済まされない。

 〈火塵魔剣〉は23柱のアイムの能力で、都市を燃やす能力である。

 それなのに、ジョーカーは火傷もなく無傷であった


「これは...耐えるのは難しいな」


 そう、短く言うだけだった。


「なんで?」

「あぁ、いやなに。私、不死身ってやつなんですよ。jokerってのは何にでもなれ、最後まで残る」


つまるところ、殺すこともできないしジョーカーはたくさんの手札を持っている。


「はは、俺では足止めは無理そうですので失礼させていただきます」

「待てっ!!」


 ルクスは、ジョーカーの首を〈火塵魔剣〉で刎ねようとするも、触れる前にジョーかは霧のように消えていった。


「...逃げたか」


 ルクスは、ソロモンの指輪をメタトロンに返し、残った熱気を振り払い、そのまま中央の教会へと向かった。



――――――


「はぁ~~~~死ぬかと思った」


 ジョーカーは人目につかない路地裏で大きくため息を吐く。

 それもそうだ。〈火塵魔剣〉の一撃を防いだのは、一日に一度だけ命を守るために発動する守護魔法が働いたためである。

 その守護魔術は仮面の魔法なので、普通は仮面をつけている時しか発動しない。

 つまり、〈joker〉を発動していなかった場合、ジョーカーは死んでいただろう。

 だが、ジョーカーは最後まで残る物だ。


「でも、ソロモンの指輪を向こう側が持ってしまったのは結構やばいかもしれませんねぇ。さぁ、どうしましょうか?団長」


 ジョーカーはジェスターがいるであろう教会を眺めた。


「まぁ、団長ならこう言うか―そうなったのは運が招いた結果に過ぎない、ならば運を楽しんでこその俺たち道化じゃあないか、ってね。というわけで、楽しむこととしよう」


 そう言ってジョーカーは闇の道を歩み始めた。


――――――


 ルクスは中央の教会に向けて走りながらメタトロンと会話をしていた。


「なぁ、メタトロン。私は他の悪魔の力を使えないのか?」

『使えないこともないが、今は無理だ』

「何故?」

『契約をしなければならない』

「契約か―アイムはどうなんだ?元々使えたが」

『あれは一緒にこの地に封印されていた。契約は自動的にされたものだった』

「自動的に......?」

『あぁ、主様の無意識とアイムの意思による契約だ』

「アイムは私との契約を望んだのか?」

『あぁ、その通りだよ主様』

「じゃあ、最後に一つ質問がある。悪魔の魂は何処にある?」

『魂は主様の中だ』

「私の中?」

『あぁ、主様の内なる世界には主様の魂、アイムの魂、私の魂が入っている。通常の人間であれば、二つも入れれば十分にすごいことなのだが...主様の場合は規格外としか言いようがない』

「そうか、ありがとう。メタトロン」

『えぇ、私も主様のお役に立ててうれしく思いますよ』


 そう言って、メタトロンは魔力の粒子となって消えていった。いや、戻っていったというのが正しいな。

 そして、ルクスは中央の教会へとついていた。

 教会は荒れ果てていて、今にも崩れるのではないかと思わせるようであった。


「さぁ、行こうか」


 ルクスは自分のうちにいると言われた、メタトロンとアイムに語り掛けるようにして、教会へと足を踏み入れた。





 これが最終決戦―そして、一章が終わりを告げる最後の戦いであった。

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