🌱第7首 天の原🌱

 天の原 ふりさけ見れば 春日なる

 三笠の山に 出でし月かも

(阿倍仲麻呂)


 果てしなく広がる天の原。

 唐の空の下、見上げた月は

 なぜか懐かしさを胸に運んでくる。


 あの光はきっと──

 故郷・春日の三笠山からも

 同じように昇っているはず。


 遠く離れてしまった今でも、

 君もあの月を見ているのだろうか。

 そう思うだけで、胸が切なくなる。


 言葉にできない問いを

 ただ月に託す。

「また会える日が来るのか」

 答えを知るのは夜空だけ。


 肩を並べて笑った日。

 小さな仕草や声のぬくもり。

 すべてが月明かりに照らされて

 鮮やかに甦る。


 もし願いが叶うなら、

 あの山の稜線で、

 君と再び同じ月を仰ぎたい。


 帰れぬとしても。

 想いは月とともに、

 永遠に故郷へ、君のもとへ。

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