戦国時代『楚帛書』に記された月名と短文の謎を追え!

@mementothanaton

第1話 あらたな月名発見!解読失敗か?

前作『失われた文法書と「如月」「皐月」の謎』において、見事――いや、見事“すぎた”と言うべきか――前漢成立の中国最古の事典『爾雅』に記された

二月:如、五月:皋(皐)の謎を(勝手に)解き明かしてしまった筆者であったが……


なんと! 1942年、戦国七雄が相争う世の楚の墓から、『爾雅』とは少し違うパターンの月名が記された文書が発掘されていたというのだ。

絹布に書かれていたため、通称『楚帛書(そはくしょ)』と呼ばれるものである。


しかもその月名には、なぜか意味不明な短文が二文字ずつ、各月の横に添えられている。

これがその全文である。(〇は未解読の不明字)


取:于下 女:必武 秉:司春 余:取女 ⿰叴欠:出睹 𠭯:司夏 

倉:莫得 臧:○○ 玄:司秋 昜:○義 姑:分長 ⿱艹𡌆:司冬


(※⿰や⿱は、漢字が出力できなかったため偏旁・冠脚で表記)


……そう、筆者の見解では、『爾雅』に記された月名

「陬, 如, 寎, 余, 皋, 且, 相, 壯, 玄, 陽, 辜, 涂」

は、もともと


「陬, 小丙如, 辜余, 且大, 相, 壯, 大玄, 陽辜涂」


という形であったと再構成していたのだが――

この『楚帛書』の並びを見る限り、『爾雅』の方がむしろ正しい。


なんてことだ! あれだけ自信満々にやった解読は、まるっと的外れだったのか……!?

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